2014年04月11日
シフのバッハ:平均律クラヴィーア曲集(新盤)
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ルガーノ、RISI放送局アウディトリオにて2011年8月11-14日に録音。
昨年2月の来日公演でもこの作品を披露、3時間近い大作を全曲暗譜で弾き、日本の聴衆を魅了している。
期待するな、と言う方がムリなアルバムである。
初期のシフは、単音の音楽を軽快に情緒豊かに演奏するタイプだった。
そのため、スカルラッティ、モーツアルト、ハイドン等の曲は非常に特徴的な演奏ができた。
この頃は、和音の作り方はあまりうまくなかったように思う。
しかし、ベートーヴェンの重層和音を扱う音楽に取り組み始めた頃から、和音の演奏方法の研究を行い、タッチ(音色)が変化し出し、そのタッチでもって各種のバッハの再録音をも行った。
今回の録音も情緒感が薄れ、重厚感が増した演奏になっている。
平均律の録音に限って言えば、前回の録音は、ペダルをふんだんに使い、主旋律以外は淡くぼかすような演奏だったが、今回の録音は、ノンペダルを徹底している。
そのため、和音のフレージングの切断が各所に見られる。
また、一部曲中でテンポが一定していないところがある。
全体的な曲の構想についても、前回の録音とは全て異なっている。
音質や指の置き方については、指を横からなでるような演奏ではなく、指を鍵盤の真上からまっすぐに落としたような演奏になっており、音質は、張りと深みのある音質となっている。
過去の録音と今の録音でシフほど完成度が違う演奏家も少ないのではないかと思える。
そしてこのアルバムもECMでリリースしているゴルトベルク変奏曲やパルティータの完成度に優るとも劣らない完成度だ。
そして、聴き直すたびに発見も多く、これは良いアルバムの特徴だろう。
おそらくは多くのクラシック愛好家、そして演奏家の模範となる演奏だと思う。
自信を持ってお薦めできるアルバムである。
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