2014年04月14日

ワルターのベートーヴェン:交響曲全集(旧盤)


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ワルターとニューヨーク・フィル(「田園」のみフィラデルフィア管)のモノーラルによるベートーヴェンの交響曲全集。

録音条件としては後年のステレオ録音の方が当然良いし、演奏もさらに円熟している。

しかしこのベートーヴェンには、ステレオ録音とは異なる独特の精気と艶やかな情緒の表出があり、独自の説得力の強さがある。

オーケストラがニューヨーク・フィルであるのもその一因だろうが、後年の録音に比べて解釈が一層ロマン的なのも非常に興味深い。

第1番は表現上の情緒的変化がワルターの頭の中ではっきり計算されている。

だから楽曲全体を聴いた場合、そこにゆったりとした気分の統一が非常に親しみやすい印象を与え、単純にみえて実はうまく演奏するのは難しいこの曲を一糸乱れぬ統一で、しかも美しい響きですっきりと演奏しているのは立派だ。

特に第2番は、ワルターの個性と曲趣が一致したのであろう、立派な演奏である。

よく歌い、そして自然であり、いささかも渋滞したり誇張したりしない。

滔々と流れる大河のように雄大であり、また細部の美は明瞭である。

「エロイカ」では、いたずらに劇的な誇張を避けたダイナミックな進行で、この曲が内に秘めた大らかな世界を十二分に歌い出している。

充分に音を柔らかくふくらませて、オーケストラ全体をよく歌わせた表現である。

葬送行進曲のテンポと後半の対位法的進行のところの見事な処理、第4楽章の大きく波打つような情感の盛り上がり、こうありたいと思う表現である。

第4番の古典的詩情の曲もワルターの得意とするところである。

第2楽章アダージョの夢のようにのどかな主題をいかに幸福感に満ちて歌ってゆくことか。

第5番は聴き終わって威圧的なものを少しも与えられずに、実に堂々たる作品であった感銘を深くする。

それがワルターの純粋さなのである。

これは伝統を血とした者の純粋な思考が生みだした演奏で、単に情緒的とかロマン的とかの部分的要素を把握した演奏スタイルではないのである。

ワルターが正直に、深く考え感じぬいた結果の「運命」である。

フィラデルフィア管弦楽団との「田園」は、コロンビア交響楽団との共演よりもやや速いテンポで、情緒的に統一のある表現でまとめている。

第7番は野性的と言えるほどに情熱的なこの曲を、ワルターは平穏な特徴をつかんで演奏しているところに特徴がある。

スケルツォと終楽章をトスカニーニと比較してみると、その特徴がよくわかる。

第8番も、じつに柔らかな良い演奏で、現役の指揮者として最盛期にあったこの時代の録音は、やはり貴重なもので、特に第7番はワルター・ファンには、聴き逃せない演奏である。

第9番の演奏の個性的で、歌に満ちた表現は高く評価したい。

その表現はワルター特有の非常に情緒的で流麗なスタイルであり、声楽の部分も良い出来で、個々の歌唱ばかりでなく、四重唱も立派である。

このような一貫した楽想の下に統一された「第9」は他にはない。

総じてニューヨーク・フィル時代のワルターの録音は、ステレオ盤とは幾分異なるワルター像を記録していると言えよう。

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