2014年04月21日
ウラッハのロマン派クラリネット作品集
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クラリネットのウラッハの芸術性が映えるクラリネット作品集で、ウィーンのプレイヤーならではの音色が存分に堪能できる賛沢なラインナップ。
レオポルド・ウラッハは、1902年にウィーンに生まれたクラリネットの名手で、若くしてウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フィルの首席奏者やウィーン国立アカデミーの教授を務めた。
いかにもウィーンの香りに満ちた、ゆったりと典雅な演奏スタイルは独特のもので、LP初期には、クラリネット奏者といえばウラッハだけが飛び抜けて名高かった。
日本では特に人気があり、当時の愛好家はウラッハによってクラリネットの名曲に親しんだそうである。
54歳という働き盛りに亡くなったが、これは亡くなる4年前の録音。
名手ウラッハの、柔らかくふくよかな音色を楽しめる名演で、その馥郁としたロマン的情緒は聴き手の心に強く迫ってくる。
ウラッハの音色はそもそもほの暗さを持っており、音量をあまり感じさせない。
実はウラッハの音色の最大の特徴は音域をまたがった際の音色の変化が極めて少ない点にあるのではないかと思っている。
クラリネットは楽器の特性上どうしても音域別に音色が異なり、特にフォルテでその差が激しくなる。
ウラッハの演奏は、強いて言えばフォルテが少なくて、その面で音色感が統一される面もあろう。
そして、彼の極めて柔らかくふくよかな響きは、他の楽器と見事に音色が溶け合う。
われわれが聴くことのできるウラッハの演奏は、ほぼ1950年代の初めに集中していて、年齢的にもおそらく最も音楽の円熟した時期と考えていいのだろう。
少なくともCDで聴く限り、技巧も極めて安定しており、ブラームスの緩徐楽章などの纏綿としたピアニッシモのメロディには今でも感銘を受ける。
音楽スタイルもウィーンの伝統を保持し、洗練されて気品のある優美で深みのある音楽を作っている。
反面、ダイナミズムは小さいが、これは録音面で少し割り引いた方がいいかもしれない。
ただ、フレーズの終わりのところのそっけなさにはちょっと時代を感じるところもあるが……、このあたりがまたウィーン・スタイルと言えなくもない。
前述したように、ウラッハの演奏は特に日本人に好まれるという。
あるいは、ウラッハによって日本人のクラリネット感が形成されてきたのかもしれない。
現在では、ウラッハの音色と音楽スタイルを、ウィーンのクラリネット奏者に聴き取ることは難しいだろう。
その点で、ウラッハの録音はますます貴重になっていくのではなかろうか。
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