2014年04月17日
ワルター&ローマRAI管のモーツァルト:交響曲第40番(1952年ライヴ)/ベートーヴェン:交響曲第7番(1954年ライヴ)
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本盤にはワルターがローマに客演した際の貴重な音源が収録されている。
モーツァルトの交響曲第40番は、1952年4月19日のライヴ録音とのことであるが、演奏は極めて素晴らしい。
これと前後してウィーン・フィル、ニューヨーク・フィル、ベルリン・フィル、コンセルトヘボウ管による演奏会でモーツァルトの第40番が演奏されており、嬉しいことにすべてCDとなって聴くことができる。
どれもこの曲の最高の演奏であり、人類の宝であるが、今回初めて聴いたローマ・イタリア放送交響楽団の演奏は、上記のどれにも負けない素晴らしい演奏である。
もちろんワルターの演奏の本質は他のオーケストラを用いた演奏と全く同じである。
もっとも、ウィーン・フィルは特別な存在で、ワルター&ウィーン・フィルの音としか言いようがないので比較の対象にならないが、この演奏ではワルターの唸り声がたびたび聴こえてきて、オーケストラに激しいオーラが放射されていることがわかる。
オケは完全にワルターの楽器となって、ワルターが洞察した音楽を自らのものとして一丸となってひたすら演奏している。
全ての音に必然性があり、確信に満ちており、輝いている。
見せかけの表現は一つもなく、すべてが必然である。
各奏者の奏でる音には、一音たりとも曖昧なものはなく、確信に満ちた何の迷いもない音を出していてすばらしい。
ワルターは指揮するどのオーケストラでも、結局のところ同じ音を出させ、崇高な演奏となる。
熟達した指揮者のみが成せる業で、再生された音と、その音が構築する音楽の宇宙は普遍的かつ完璧である。
ベートーヴェンの交響曲第7番は、1954年5月18日のライヴ録音で、コロンビア交響楽団との演奏と同様、ワルターのこの曲最高の演奏の一つである。
コロンビア交響楽団を指揮しての演奏は偉大で、精神的で、美しく、雄大で、威力があり、この曲の本質を完璧に再現した演奏である。
ローマ・イタリア放送交響楽団による同曲の演奏も本質は同じである。
例えば、この盤の第4楽章は、コロンビア響との白熱化した演奏と基本的に全く同じである。
このローマ・イタリア放送交響楽団との演奏を聴いていると、コロンビア響の演奏の音がかぶさって聴こえてきて見事としか言いようがない。
同時にもう一つのワルターの本質、そしてそれはベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」や「フィガロの結婚」、ホロヴィッツとのチャイコフスキーのピアノ協奏曲などの激烈な演奏で我々が良く知っている偉大な激烈さがよりストレートに出ていて、全く見事な第7番の演奏となっている。
ローマ・イタリア放送交響楽団の音は美しく、かつ厚みと威力があり、ずしんとくる重みがある。
78歳のワルターがこんな凄まじい演奏を行ったことにますます畏敬の念を持ってしまう。
録音は仏ターラ社の優れたリマスタリング技術によって復刻されたもので、音質は良好である。
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