2014年04月18日
ベイヌム&コンセルトヘボウのブルックナー:交響曲第5番
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1959年3月12日、オランダ放送音源によるベイヌム最後のライヴ録音である。
ベイヌムのブルックナーは、この5番に加えて7、8、9番ともに秀でた名演である。
筆者にとって、LP時代にブルックナー開眼の記念碑となった、思い出に残る名盤である。
稀有壮大なスケール感とかロマンティシズムとは対照的な、現代的というか、颯爽とした、見通しのよいきりりと引き締まったブルックナー。
ヴィオラ奏者だったゆえであろうか、ベイヌムは、ふくよかな弦の響かせ方が実に巧みで、それを基調に、木管は弦楽に溶け込ませるように用い、その一方、金管はクライマックスを除き、やや抑制気味に被せていく。
ベイヌムはメンゲルベルクという、大きな存在の後釜ということもあるのだろうが、どちらかというと目立たない演奏である。
派手さがない、だからといって地味でもなく、陰のある演奏だけれど、陰気な雰囲気はない。
旋律の歌わせ方が際立って流麗とか、1音1音に大地を揺り動かす激しさがあるとか、狂気を帯びているとか、強烈な印象を抱かせる指揮者ではなく、全体的に、控えめな音楽を聴かせてくれる。
では面白味に欠けるのかと言われると、その答えは否である。
大抵、過不足なく演奏する指揮者ほどつまらないものはいないが、確かに、ベイヌムには行き過ぎはなく、抑え過ぎもまたない。
ではなぜ、彼に筆者は魅せられたのか? うまく言えないのが本音だが、あえて語ると、絶妙だからである。
このブルックナーの5番の演奏は、ベイヌム最後の録音と言われているもので、放送用の録音だ。
ブルックナーの音楽を通して、ベイヌムが生涯貫いてきた指揮者としての矜持が聴こえてくる。
ライヴ録音のため多少のノイズはあるが、端正で実に溌剌とした演奏は確実に伝わってくる。
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