2014年04月20日

F=ディースカウ&ムーアのシューベルト:歌曲集「美しき水車小屋の娘」[SACD]


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本盤には、シューベルトの若き日の傑作(シューベルトは31歳でこの世を去ったことから、若き日というのは生涯のことではなく創作期のことを指すことを指摘しておきたい)である歌曲集「美しき水車小屋の娘」が収められている。

同歌曲集は、主人公の青年が水車小屋の若き乙女に恋をするが、恋敵が登場するに及んで乙女の心が恋敵に移り、絶望のうちに小川に身投げをするという一連のストーリーを、シューベルトならではの瑞々しさを感じさせる美しい旋律が散りばめられた20曲にも及ぶ歌曲で描き出した傑作である。

シューベルトの若き日の感性が全体に漲った楽曲だけに、同歌曲集については、演奏の時期を選ぶと言えるのではないだろうか。

フィッシャー=ディースカウは、同歌曲集を何度も繰り返し録音しているが、心身ともに最も充実していた1971年にジェラルド・ムーアとともに組んでスタジオ録音した本盤の演奏こそが、随一の名演と高く評価したい。

それどころか、同歌曲集の様々な歌手による演奏の中でも、トップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。

フィッシャー=ディースカウの歌唱は、あまりにも巧いために、その巧さが鼻につくケースも散見されるところであるが、本演奏においては、巧さにおいては申し分がないものの、技巧臭などはいささかも感じさせず、むしろシューベルトの音楽の素晴らしさ、美しさを心行くまで堪能させてくれるのが素晴らしい。

あたかも、フィッシャー=ディースカウが主人公である青年の化身となったような趣きさえ感じられるところであり、これだけ同歌曲集の魅力を堪能させてくれれば文句は言えまい。

ジェラルド・ムーアのピアノ演奏も、シューベルトの当歌曲集に特有の初々しく瑞々しい情感に満ち溢れた美しい旋律の数々を表現力豊かに描き出しており、フィッシャー=ディースカウによる名唱をより引き立てるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。

音質については、リマスタリングがなされるなど高音質化への不断の取組が行われてきたが、今般、ついにシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化が行われることによって、従来CD盤をはるかに凌駕するおよそ信じ難いような圧倒的な高音質に生まれ変わったところだ。

フィッシャー=ディースカウの息遣いやジェラルド・ムーアのピアノタッチが鮮明に再現される極上の高音質や音場の幅広い臨場感にはただただ驚愕するばかりであり、あらためて本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、フィッシャー=ディースカウ&ジェラルド・ムーアによる至高の超名演を、現在望み得る最高の高音質を誇るシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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