2014年05月11日

アバド&シカゴ響のマーラー:交響曲第6番「悲劇的」/リュッケルトの詩による5つの歌曲(シュヴァルツ)


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本盤に収められたマーラーの交響曲第6番は、アバドによる2度にわたる同曲の録音のうち最初のものに該当する。

最新の演奏は2004年にベルリン・フィルを指揮したものであるが、それは近年のアバドの円熟ぶりを窺い知ることが可能な至高の名演であった。

したがって、それより25年も前の本演奏の影はどうしても薄いと言わざるを得ないが、筆者としては、若きアバドならではの独特の魅力がある素晴らしい名演と高く評価したい。

1970年代後半からベルリン・フィルの芸術監督に就任する直前である1980年代後半にかけては、ある意味ではアバドが最も輝いていた時期であったと言えるのではないだろうか。

アバドもベルリン・フィルの芸術監督に就任した後は、借りてきた猫のような大人しい演奏に終始するようになるのだが、かかる輝ける時期のアバドは、生命力溢れる熱のこもった名演の数々を成し遂げていた。

本演奏でもそのような若きアバドならではのエネルギッシュな指揮ぶりが健在である。

とりわけ、第1楽章や終楽章におけるトゥッティに向けて畳み掛けていくような気迫と力感は、圧倒的な迫力を誇っている。

また、第3楽章においては、アバドならではの歌謡性豊かな表現には汲めども尽きぬ情感が満ち満ちており、その歌心溢れる柔和な美しさには抗し難い魅力がある(アバドは、前述のベルリン・フィル盤では、第2楽章と第3楽章を入れ替えるという近年主流となりつつあるバージョンで演奏していたが、本演奏では、従来版に従って演奏していることについても特筆しておきたい)。

いずれにしても、本演奏は強靭な力感と豊かな歌謡性を併せ持った、いわゆる剛柔バランスのとれた名演に仕上がっていると言えよう。

また、シカゴ交響楽団も持ち前の超絶的な技量を惜しげもなく披露し、望み得る最高の演奏を繰り広げていることも、本名演に大きく貢献しているのを忘れてはならない。

併録の「リュッケルトの詩による5つの歌曲」も、シュヴァルツの歌唱ともども素晴らしい名演と高く評価したい。

録音は、従来盤でも比較的満足できる音質ではあったものの、前述のベルリン・フィル盤がSACD化されていることもあって、その陰に隠れた存在に甘んじていたと言えるが、今般、SHM−CD化による高音質化が図られたというのは、本演奏の素晴らしさに鑑みても大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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