2014年04月21日
ワルター&ニューヨーク・フィルのマーラー:交響曲第5番/「若き日の歌」より(1947年スタジオ録音)
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マーラーの交響曲第5番はワルターのこの曲の唯一の録音であり、その意味でも大変貴重である。
ワルターの意外にも古典的な手堅さを見ることができる演奏であるが、どこをとっても、ワルターのこの曲に対する愛情が満ち溢れた名演奏だ。
全楽章に感興があふれ、その自然な呼吸の歌の起伏が、聴き手を魅惑せずにはおかない。
第1楽章の劇的な迫力も凄いが、有名な第4楽章〈アダージェット〉の旋律の歌わせ方は最高で、豊かなニュアンスで絶妙な表現を作っている。
第4楽章の〈アダージェット〉だけは前にウィーン・フィルとの録音(1938年)があるので、これが第2回目ということになるが、ニューヨーク・フィルから、よくもこれだけの人間味を表出し得たと感心させられる出来ばえを示している。
ウィーン・フィル盤ほど自然ではないが、粘りつくようなメロディーとリズム、そして人間味を肌いっぱいに感じさせるような弦の音、やはりワルターだけがよく成し得る名演と言えよう。
また、第2、3楽章あたりも充実した名演で、前者は各楽器がすべて意味深く生きた傑作だし、後者のウィンナ・ワルツの幻想はワルターの最も得意とするところで、洒落たリズムと歌に満ち溢れ、流れの緊迫感を常に失っていない。
細部まで音楽を自己のものとして消化し、権威をもってオーケストラをリードしている。
両楽章とも曲自体が非常に魅力的ですぐれており、ワルターの音楽性と相俟ってマーラー・ファンには何よりの贈り物であろう。
オーケストラも精気に満ちて素晴らしく、これは歴史的な記録として永く保存しておきたい名演だ。
歌曲集「若き日の歌」(から8曲)では、ハルバンがきめ細かく詩と音楽の情緒を表現して、ロマンティシズムの真髄に迫っている。
根っからのロマン主義者であったワルターであったが、指揮と同様、このピアノ伴奏でも過剰なルバートやデュナーミクを多用することなく、ハルバンの歌をより格調高く歌わせるような、巧みな指さばきを見せている。
こういう伴奏は歌手にとって歌いやすいのではないだろうか。
ハルバンの母性的な感情と可憐さを共有した、親しみやすい雰囲気はマーラーに最適である。
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