2014年04月25日
ギレリス&マゼールのチャイコフスキー:ピアノ協奏曲全集、他
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
「鋼鉄のピアニズム」と言われて一世を風靡したギレリスお得意の超骨太のチャイコフスキーである。
機械のように正確な技巧と繊細な叙情性を併せ持った演奏は、日本でも多くのファンを獲得した。
情熱的で雄大なスケールのうちにも詩情豊かな味わいを持つ絶品のチャイコフスキーだ。
過度な化粧や装飾をそぎ落とし、しっかりとした構成をベースに明確な輪郭を形成し、その内面をロマンティックな表情で固める彼の演奏の凛とした姿勢がここに示されている。
数あるCDの中で、「あのセンチメンタリズムにはついていけない・・・」と言われた吉田秀和氏ばりの硬派な方にぴったりの演奏が、このギレリス&マゼール盤。
ギレリスをサポートするマゼールの巧みさも必聴で、テンポの伸縮も凄まじい。
受けて立つギレリスは音響的ハレーション寸前、ピアノが壊れるのではないかというほどに容赦ないフォルティッシモをこれでもかと浴びせかけてくる。
これに対してマゼールはたっぷり間をとって、ほわっとした感じのテヌートぎみのフレージングで、ここはチェロ、ここは木管、ここは金管というように各声部を過剰に強調しながら、場面を切りかえ、ギレリスの過剰な強打をかわしていく。
超劇的な展開かと思いきや、次は肩すかしの弱音で攻める。
こんな面白い演奏は他には見当たらない。
チャイコフスキーの意図との整合性はともあれ、かのホロヴィッツ&トスカニーニ盤に匹敵するカタルシスを味わえるCDである。
数あるギレリスのチャイコフスキーの中でも、空前絶後(抱腹絶倒)の名演だ。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。