2014年05月21日
メータ&ウィーン・フィルのマーラー:交響曲第2番「復活」[SACD]
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近年では円熟の境地を迎えたものの、かつての光彩をすっかりと失ってしまったメータであるが、ロサンゼルス・フィルの音楽監督をつとめていた時代は凄かった。
当時は、ロンドン交響楽団とともに圧倒的な名演奏を繰り広げていたアバドや、ボストン交響楽団の音楽監督に就任して世界に羽ばたこうとしていた小澤などと並んで、新進気鋭の指揮者として次代を担う存在と言われたものであった。
かの巨匠カラヤンも、将来のクラシック音楽界を背負う指揮者としてアバド、小澤とともにメータを掲げていたこともあり、メータが当時、いかに華々しい活躍をしていたかを窺い知ることが可能である。
本盤に収められたマーラーの交響曲第2番「復活」の演奏は、メータがいまだ39歳の時に、ウィーン・フィルを指揮したものであるが、メータの類稀なる才能を感じさせる圧倒的な超名演と高く評価したい。
メータは、その後も同曲を録音しているが、本演奏の持つ魅力に迫る演奏を成し遂げることがいまだ出来ないでいるところだ。
とにかく、冒頭から凄まじいド迫力だ。
どこをとっても切れば血が噴き出てくるような力感が漲っており、随所に聴かれる畳み掛けていくような気迫や生命力にはただただ圧倒されるのみである。
大胆とも言うべきテンポの思い切った振幅や猛烈なアッチェレランド、そして強弱の変化などを効果的に駆使して、途轍もない壮麗な壁画とも言うべき圧倒的な音楽を構築しているのに成功していると言えるだろう。
それでいて、第2楽章や第4楽章などにおける繊細な美しさにも出色のものがあり、必ずしも若さ故の勢い一本調子の演奏に陥っていないことに留意しておく必要がある。
演奏によっては冗長さに陥りがちな終楽章も、緩急自在のテンポ設定を駆使した実に内容豊かな表現を垣間見せており、終結部のスケール雄大さも相俟って、おそらくは同曲演奏史上でも上位にランキングしてもいいような見事な演奏に仕上がっていると言えるところだ。
イレアナ・コトルバスやクリスタ・ルートヴィヒと言った超一流の歌手陣も最高のパフォーマンスを発揮しているとともに、ウィーン国立歌劇場合唱団もこれ以上は求め得ないような圧倒的な名唱を披露していると言えるだろう。
そして、特筆すべきは、ウィーン・フィルによる見事な名演奏である。
若干39歳のメータの指揮に対して、これほどの渾身の名演奏を繰り広げたというのは、ウィーン・フィルが若きメータの才能を認めていたに他ならないところであり、こうした点にも当時のメータの偉大さがわかろうというものである。
いずれにしても、本演奏は、若きメータによる圧倒的な名演であり、加えて同曲演奏史上でも上位を争う素晴らしい超名演と高く評価したい。
そして、本演奏の凄さは、英デッカによる今は亡きゾフィエンザールの豊かな残響を生かした極上の高音質録音と言える。
英デッカは、その録音の素晴らしさで知られているが、その中でも、本演奏は最上位にランキングされるものと言えるのではないだろうか。
したがって、従来CD盤でも十分に満足できるものであったが、数年前にSHM−CD化がなされ、それによって、更に良好な音質になったところであり、筆者もこれまでは当該SHM−CD盤を愛聴してきたところだ。
ところが、今般、ついに待望のシングルレイヤーによるSACD化が行われることによって大変驚いた。
従来CD盤やSHM−CD盤とは次元が異なる見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。
オーケストラと合唱が見事に分離して聴こえるなど、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。
いずれにしても、メータによる圧倒的な超名演を、シングルレイヤーによるSACDによる極上の高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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