2014年05月01日
ショルティ&シカゴ響のベルリオーズ:幻想交響曲、リスト:交響詩「前奏曲」
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1991年にシカゴ交響楽団のポストを勇退したショルティが、翌1992年にザルツブルクの聖霊降臨祭コンサートで再びシカゴ交響楽団と行った演奏会の貴重なライヴ録音盤。
ショルティは稀代のオーケストラトレーナーとして、もともと有数の実力を持っていたシカゴ交響楽団を更に超一流の存在に引き上げたが、そうしたショルティだけに、管弦楽の大家と称されたベルリオーズ、中でもその最高傑作とされる幻想交響曲を得意としていたことは十分に理解できるところだ。
ショルティによる同曲の代表盤と言えば、シカゴ交響楽団の音楽監督に就任して間もないころにスタジオ録音を行った演奏(1972年)が念頭に浮かぶ。
強靭なリズム感とメリハリの明瞭さを全面に打ち出したショルティの基本的なアプローチが、同曲の性格に見事に符号しており、シカゴ交響楽団の桁外れの技量も相俟って、どこをとっても曖昧な箇所がなく、明瞭で光彩陸離たる音響に満たされた圧倒的な名演に仕上がっていたと言えるところだ。
したがって、ショルティとしても会心の出来と考えたのではないかと思われるが、シカゴ交響楽団の音楽監督在任中は、同曲を再録音することはなかった。
そのようなショルティであったが、シカゴ交響楽団の音楽監督退任の翌年(1992年)、ザルツブルク聖霊降臨祭コンサートにおいて、満を持して20年ぶりに再録音を行ったのが本盤収められた演奏である。
本演奏を聴くと明らかであるが、確かにショルティの特色であった強靭なリズム感とメリハリの明瞭さ、そして鉄壁のアンサンブルといった点においては、旧演奏に一歩譲っているというのは否めないところだ。
しかしながら、本演奏においては、晩年を迎えて指揮芸術により一層の懐の深さ、奥行きの深さを増したショルティならではの円熟の至芸を堪能することが可能であり、いわゆる演奏の彫りの深さといった点においては旧演奏よりも上位に掲げられるのではないだろうか。
ショルティ指揮のシカゴ交響楽団は、旧演奏ほどの凄みは感じさせないが、超絶的な技量をベースとして一糸乱れぬアンサンブルを披露しているのが見事であり、ショルティ統率下のシカゴ交響楽団がいかにスーパー軍団であったのかを認識させるのに十分なヴィルトゥオジティを最大限に発揮している。
かかるシカゴ交響楽団の好パフォーマンスが、本演奏を名演たらしめるのに大きく貢献しているのを忘れてはならない。
併録のリストの交響詩「前奏曲」は、ロンドン・フィルとの旧録音(1977年)に比して、オーケストラの力量も含めて数段優れた演奏に仕上がっていると言えるところであり、それどころか、フルトヴェングラー&ウィーン・フィルによる演奏(1954年)、カラヤン&ベルリン・フィルによる演奏(1967年)に次ぐ素晴らしい名演と高く評価したい。
音質も英デッカによる極めて優秀なものであり、ルビジウム・クロック・カッティングによって更に鮮明さが増したと言える。
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