2022年10月07日
ウィーン風とは無縁🤥最良の意味での「職人」ベーム👌モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』👏ザルツブルク音楽祭ならではの豪華キャスティング
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極めてドイツ的な『フィガロ』であり、それは収録年に起因するが、1957年当時のカール・ベームは、男性的な筋肉質の演奏スタイルだった。
巨匠ベームは相手がモーツァルトであっても姿勢を変える事なく取り組んでいて、当然この演奏はウイーン風とは無縁である。
しかし巨匠ならではの美点ももちろんあり、それは歌手に歌い崩しを許さない厳格な姿勢であるが、その為、作品の美点を見失わない忠実な演奏となる。
これはひとつの理想であり、作品に対して忠実であるのもひとつの解釈である。
それは巨匠の音楽環境がそうさせたと見るのが順当で、これが若き日に影響を受けた新即物主義に対する証しである。
しかしこの演奏はウィーン・フィルの音色に助けられ特有の厳しい表情が和らいでいるのが救いかも知れない。
歌手達のアンサンブルはこれといって特に不満はなく、むしろ絶妙と言って良い。
エーリッヒ・クンツのフィガロも良いが、やや控えめなのが惜しく、イルムガルト・ゼーフリートのスザンナも同様だが、騒ぎ過ぎないのは作品に対してバランスを保っていると言えるだろう。
伯爵夫人は、エリザベート・シュヴァルツコップで、この頃が全盛期と言えるが、ここでは何故か艶っぽさが今ひとつなのが残念だ。
ケルビーノは、クリスタ・ルートヴィヒで、表現力が素晴らしく、アリアでは聴かせる。
アルマヴィーヴァ伯爵は、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウで、流石に上手く風格がある。
何よりも伯爵のフィッシャー=ディースカウと伯爵夫人のシュヴァルツコップ、この2人がザルツブルクで同じオペラの舞台に立っていることを想像するだけでワクワクしてしまう。
そしてベームの作り出す音楽が、晩年のそれとは違い、とにかく躍動感に溢れている。
そのことが、この『フィガロ』というオペラにおいて、どれだけ重要なことか…。
進行に合わせて、歌手にそっと寄り添い、またあるときは歌手をリードしながら、聴衆をどんどん核心に引き込んでいくその指揮ぶりは、最良の意味での「職人」。
また、ウィーン・フィルも、随所でその妙技を聴かせてくれている。
まったくこれ見よがしの表現はとらないのに、ベームの棒を信じて生み出されるその表情は、「あー、やっぱりウィーン・フィル!」と実感させてくれる。
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