2014年05月12日
テンシュテット&ロンドン・フィルのモーツァルト: 交響曲第35番「ハフナー」、マーラー: 交響曲第5番(1984年来日公演)[SACD]
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1984年4月13日 大阪フェスティバル・ホールに於けるライヴ録音。
今回リリースされる音源は、テンシュテット&ロンドン・フィルの初来日時、大阪で行われた演奏会をFM大阪のスタッフが収録したもので、いくつか残されているこの指揮者のライヴ音源の中でも、まずは屈指のハイ・クオリティと言っていい高音質が嬉しいところ。
マーラーの第5番など、冒頭のトランペット・ソロのリアルさ、ゴングやバス・ドラムのなんとも沈痛な響き、そして驚くほど生々しい弦楽セクションと、このレンジの広い作品が高域から低域まで見事なバランスで収められている。
暗く濃厚な音のインパクトはそのままに、より音が広大に広がった印象で、さらに緻密さが増した音質に仕上がっているのは、シングルレイヤーによるSACD高音質録音の威力によるものであろう。
マーラーの第5番はテンシュテット得意の演目で、「テンシュテットのマーラーのライヴ」として想像される演奏像を裏切らない、まさに熱演。
他にも1978年のスタジオ録音と、1988年のロンドンにおけるライヴ録音の2つのEMI盤が、同じロンドン・フィルとの演奏で残されているが、今回の1984年ライヴは、緩急のメリハリが3つの中でもっとも顕著に示され、情念傾注の強さと深さにおいて他盤より一歩抜きん出ているように思われる。
ライヴ録音につきもののアンサンブルの乱れなどもほとんど無く、内容の濃さは1978年のEMIのスタジオ録音盤に引けを取らないが、音楽的な流れの良さもこのライヴの方が上で、散漫になりがちなEMI盤より凝縮されている。
テンシュテット自身の言葉を借りれば、「マーラーは、私の人生」なのだが、まだ健康だった頃の1984年の当録音は、どちらかと言えば健康的な、深刻ぶらない演奏と言える。
カップリングとしてモーツァルトの「ハフナー」が入ってるが、この手の演奏の凄さを言葉で表現するのは難しく、マーラー的な分厚い音響の演奏とでも言うべきか。
ちなみにこの演奏会が行われた1984年は、テンシュテットがロンドン・フィル音楽監督に就いて1年目。
翌85年には癌を発病したことを考えれば、これはテンシュテットがまだ健康に恵まれていた時期の記録としても貴重なライヴ録音だ。
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