2014年10月26日
スクロヴァチェフスキ&読売日響のブラームス:交響曲第4番、ハイドンの主題による変奏曲[SACD]
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本盤にはブラームスの交響曲第4番とハイドンの主題による変奏曲が収められているが、スクロヴァチェフスキ&読売日響は、既にブラームスの交響曲第1〜3番を録音していることから、本演奏はまさにスクロヴァチェフスキ&読売日響によるブラームスの交響曲全集の完結編ということになる。
また、スクロヴァチェフスキは、ハレ管弦楽団とともにブラームスの交響曲全集をスタジオ録音(1987年)しており、本盤を持って2度目の全集の完成ということになるが、演奏内容については、今般の2度目の全集の方がダントツの素晴らしさと言えるだろう。
そして本盤の第4番の演奏も、スクロヴァチェフスキによる2度目のブラームスの交響曲全集の掉尾を飾るに相応しい至高の圧倒的な超名演に仕上がっていると高く評価したい。
ブラームスの交響曲第4番のこれまでの他の指揮者による名演としては、シューリヒトやムラヴィンスキーなどによる淡麗辛口な演奏や、それに若さを付加したクライバーによる演奏の評価が高く、他方、情感溢れるワルターや、さらに重厚な渋みを加えたベームによる名演、そして本年に入ってSACD化が図られたことによってその価値が著しく高まったドラマティックなフルトヴェングラーによる名演などが掲げられるところだ。
これに対して、スクロヴァチェフスキによる本演奏の特徴を一言で言えば、情感豊かなロマンティシズム溢れる名演と言ったことになるのではないだろうか。
もっとも、ワルターの演奏のようなヒューマニティ溢れる演奏とは若干その性格を異にしているが、どこをとっても歌心に満ち溢れた豊かな情感(感極まって、例えば第1楽章などスクロヴァチェフスキの肉声が入る箇所あり)を感じさせるのが素晴らしい。
それでいて演奏全体の造型は堅固であり、いささかも弛緩することはない。
加えて、第3楽章の阿修羅の如き快速のテンポによる畳み掛けていくような気迫溢れる豪演など、86歳の老巨匠とは思えないような力感が演奏全体に漲っているが、それでも各楽章の緩徐箇所においては老巨匠ならではの人生の諦観を感じさせるような幾分枯れた味わいをも有しているところであり、その演奏の彫りの深さと言った点においては、これまでの様々な大指揮者による名演にも比肩し得るだけの奥行きのある深遠さを湛えている。
また、すべてのフレーズに独特の細やかな表情付けが行われており、終楽章のゆったりとしたテンポによる各変奏の巧みな描き分けも含め、演奏全体の内容の濃密さにおいても出色のものがあると言えるだろう。
いずれにしても、本演奏は、現代最高の巨匠指揮者スクロヴァチェフスキが最晩年になって漸く成し得た至高の超名演と高く評価したい。
ハイドンの主題による変奏曲は、まさに老巨匠ならではの職人技が際立った名演奏。
各変奏の描き分けの巧みさは、交響曲第4番の終楽章以上に殆ど神業の領域に達している。
加えて、各フレーズの端々に漂う豊かな情感においても、そしてその演奏の彫りの深さにおいても、同曲の様々な指揮者による名演の中でもトップの座を争う至高の超名演と高く評価したい。
読売日本交響楽団も、崇敬する巨匠スクロヴァチェフスキを指揮台に頂いて、その持ち得る実力を十二分に発揮した渾身の名演奏を展開しているのが見事である。
ホルンなどのブラスセクションや木管楽器なども実に上手く、弦楽合奏の豊穣さなど、欧米の一流のオーケストラにも匹敵するほどの名演奏とも言えるだろう。
なお、本盤で更に素晴らしいのは、マルチチャンネル付きのSACDによる極上の高音質録音である。
各楽器の位置関係までもが明瞭に再現される臨場感溢れる鮮明で豊穣な高音質は、本超名演の価値をより一層高いものとしていることを忘れてはならない。
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