2014年05月18日
クーベリック&ボストン響のスメタナ:連作交響詩「わが祖国」[SACD]
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クーベリックは連作交響詩『わが祖国』を何度も録音しているが、衆目の一致するところ、ライヴ録音では、東西冷戦終結後にチェコ・フィルに復帰し、その際にライヴ収録された歴史的な演奏(1990年)、スタジオ録音では、安定感のある本盤のボストン交響楽団(1971年)との演奏がベスト2と言われている。
筆者としても、こうした評価に異論差し挟む気は毛頭ない。
クーベリックは、実演において本領を発揮する指揮者と言われているが、スタジオ録音であっても、スメタナやドヴォルザークなどのお国ものを指揮した時は、ライヴ録音と見間違うような熱い演奏を成し遂げることが多い。
本盤を、安定感ある演奏と評したが、それは安全運転という意味では決してない。
それどころか、クーベリックのチェコへの深い愛着と望郷の念をうかがわせる実に熱い演奏と言うことができる。
「ヴィシェフラト」の終結部で冒頭主題が回帰する箇所の、いわゆる「兵どもが夢のあと」といった風情をこれ以上情緒豊かに歌い上げた例がほかにあったであろうか。
「シャールカ」や「ボヘミアの森の草原より」の決然とした開始は我々の度肝を抜くのに十分な迫力であるし、特に、「シャールカ」の変幻自在のテンポ設定の実に巧みなこと。
「ターボル」の怒りの進軍の重量感は、他の指揮者が束になってもかなわないド迫力。
「ブラニーク」の圧倒的な高揚にはもはや筆舌には尽くし難い深い感動を覚える。
まさに、『わが祖国』の演奏のトップの座を争う至高の超名演と評価したい。
音質については、リマスタリングされただけあって従来CD盤でも、かなり満足できる音質であったが、連作交響詩『わが祖国』の中でもトップの座を争う超名演でもあり、SHM−CD化など、更なる高音質化を望んでいたところであった。
そのような中で、今般、ユニバーサルがシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化を図ったと言うのは、本演奏が至高の超名演であることに鑑みても、歴史的な快挙と言えるだろう。
本シングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤は、これまでの既発のリマスタリングCDとは次元が異なる極上の高音質であり、音質の鮮明さ、音圧、音場の広さのどれをとっても一級品の仕上がりである。
クーベリックによる歴史的な超名演、そしてスメタナの連作交響詩『わが祖国』の演奏史上トップの座を争う至高の超名演を、このような極上の高音質SACD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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