2014年07月20日
ワルター&ウィーン・フィルの「未完成」「プラハ」「奇蹟」他
この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。
ワルターの十八番ウィーン・フィルとのハイドン、モーツァルト、シューベルトで、甘美でエレガントな味わいが力強く美しく再現(復刻)されていて、選曲も最高と言えよう。
「未完成」は、第1楽章の終結、最後の3つの和音がスタッカートで、終わりのさざ波がいかにも短く、ため息のように消えてゆく。
この部分にワルターの「未完成」の美しさは集約されているようだ。
はかない哀感、この一言に尽きる。
ワルターはかなりオーケストラの奏者に任せつつ全体を見透し、愁いにみちた甘美さでこの曲を描き上げた。
ウィーン・フィルの貴族的なニュアンスとともに、ここにはわれわれが心の中で典型とする「未完成」の姿がある。
「プラハ」は、ワルターの若々しさとウィーン・フィルの個性がミックスして、独特の魅力を生んだ録音だ。
特に、第1楽章の主部をこれほど速いテンポで指揮したのは他にはシューリヒトだけである。
第2楽章の身も世もなく歌う恍惚美と高貴な艶は、一種の虚無感と相俟って全曲の頂点となる。
天国的なモーツァルトの音楽とその演奏にふと浮かび上がる虚無の影や不安感、これこそワルターの「プラハ」の秘密と言えよう。
「奇蹟」は、魅力的な部分が多々あるにもかかわらず、全体として小味にすぎ、即興演奏風にすぎて、古典の格調を失ったハイドンである。
美しいのはメヌエットのトリオにおけるオーボエで、これほど間の良い、音色にも吹き方にもセンスのあふれた演奏は滅多に聴けないだろう。
ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング
フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室。