2014年05月19日
スーク・トリオのベートーヴェン: 「大公」 (1961年盤)/スーク&パネンカのベートーヴェン:スプリング・ソナタ
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スーク・トリオの「大公」には、ピアノがハーラに代わってからの新録音があるが、これはパネンカ時代の最初の録音である。
ハーラが加わってからのアンサンブルは三者一体となった緊密さの魅力が増したが、ここにはそれと異なった三者三様の持ち味が発揮され、コントラストの妙味ともいうべき魅力がある。
ここでも、歯切れのよいピアノのリードによって、熱気のこもった華麗な演奏を行っている。
特に第1楽章の堂々たる表現や、第2楽章のロマンティックな気分の出し方など、見事の一言に尽きる。
いずれ劣らぬ名演といえ、新盤が登場した今も、この演奏がもつ価値はいささかも失われていない。
細部を精緻に描きながら全体は大きなうねりと熱気にあふれており、熟成された純室内楽的な名演として永遠に価値を失わない名盤であろう。
スークとパネンカの名コンビによるこの演奏は、呼吸がピッタリ合った素晴らしいアンサンブルを聴かせる。
スークのヴァイオリンは、すこぶる繊細で、甘美な音色をもっており、パネンカのピアノも実に安定していて品位が高い。
スークもパネンカも、いわゆる巨匠型の演奏家ではないが、力量と総合力の高さを持っている。
ただこのコンビはたくましさよりや情熱よりも、端正な演奏が身上で、このコンビに適しているのは、「クロイツェル」より「スプリング」ということになる。
この曲では、スークのそうした持ち味が充分に生かされた良い出来で、スークの表現が、現代的で新鮮なので、若い人たちには好まれよう。
ベートーヴェンの抒情を歌い上げて、端正・清楚な点ではトップ・クラスの演奏だし、ひと味違ったベートーヴェンに接することができる。
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