2022年10月04日
ライヴで本領を発揮するタイプのベーム🔥ブラームス:交響曲第1番/グルダと共演したモーツァルト:ピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」
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ベームのブラームスの第1番と言えば、1959年のベルリン・フィルとの録音がSACD化されて再評価されているし、そのレビューにも書いたようにこの曲の筆頭に挙げても良い感動を呼ぶ名演であった。
また、1975年にウィーン・フィルと来日した時の印象も強烈だが、当時の解釈はすでに晩年様式に入ったものだった。
それらに対し、この演奏は、1969年にバイエルン放送交響楽団のシーズン幕開けの演奏会で収録されたもの。
ライヴで本領を発揮するタイプのベームが、ここでは完全燃焼を見せている。
そのスケールの大きさ、張り詰めた緊張感は類例がないほどで、造型も堅固そのもの。
バイエルン放送響はベームが頻繁に客演したオーケストラのひとつで、この演奏を聴いただけでも両者の良好な関係が窺われよう。
機能性と力強さ、そしてのびのびとした豊かな響きがベームの音楽の骨格に見事な肉付けを行なっている。
カップリングのグルダの《ジュノーム》は、まずグルダのピアノに驚嘆し、ついでモーツァルトの音楽の奥深さに打たれて、あまりの美しさに陶然とする。
全曲を通して聴いてもたかだか30分のこの曲は、聴いているととても儚い。
ずっと聴いていたいのに、どの楽章も10分程度で終わってしまう。
短調で書かれた第2楽章も、その儚さゆえにとても短く感じられる。
グルダは一音一音が情に流されて弾いているというのではなく、「こうでなければ」と確信を持って弾いているように感じられる。
「木を見て森を見ず」という表現があるが、この演奏の場合、グルダのタッチが洗練の極みに達しているので、その「木」を一つ一つ見るだけでも価値があり、しかも倦むことがない。
さらに、森として見た場合も、その繊細な美しさは比類がないのである。
ベーム指揮のバイエルン放送響はグルダのピアノを全く邪魔しない見事な伴奏。
オケのバランスといい、品の良さといい、申し分がない。
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