2014年05月23日

ワルターのモーツァルト:歌劇「魔笛」全曲(英語版)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



モーツァルト生誕200年に、メトロポリタン歌劇場で2月23日から3月26日まで7回公演されたもののうち、3月3日の録音。

ワルターは「魔笛」をモーツァルトの遺言と考えており、しかも1956年3月3日をいえばニョーヨーク・フィルによる「ジュピター」(3月5日)のレコーディングの直前、彼の芸術の頂点を示した時期である上に、実演録音でもある。

この演奏は1942年の「ドン・ジョヴァンニ」とともにワルターが残したモーツァルト・オペラ最高の、いや「魔笛」最高の演奏と言うべきである。

劇音楽に対するワルターの才能の現われも特徴的で、ドラマの持つ感情や意味を音楽化する力において、筆者は少なくとも「魔笛」に関する限りワルター以上の人を知らない。

前時代的と言われようが歌詞が英語だろうが絶好調のワルター芸術が爆発している。

速めのテンポで演奏されるこのライヴ盤は、歌手とオーケストラとの、アンサンブルでの齟齬などもあるけれど(オケが終始速め)、ワルターの情熱とオペラ指揮者としての迫力が充分に伝わる名演である。

モーツァルト晩年の透明感とは少し違うかもしれないが、生き生きとした音楽は心に深く浸み込み、大きな感動を与えてくれる。

歌手陣には若干の不満もあるが、こと指揮について言えばその壮麗かつ迫力の凄さにまさに圧倒される。

英語も聴き進むに従って気にならなくなる。

重唱や合唱、さらには独唱者にさえ与えられるワルターの表情、レガートやスタッカート、強弱のニュアンスの変化はまさにデリケートの極みと言うべきであろう。

それはちょうどニューヨーク・フィルを振った「ジュピター」をさらに多様に、さらに生々しい血を通わせてオペラに封じ込めたと言ったら良いだろうか。

コーラスもオーケストラもむしろ平凡だが、すべてが完全にワルターの手足となり、まとまったチームとなって充実した演奏を繰り広げている。

かえって歌手にスターがいないだけに、ワルターの「魔笛」がいっそう純粋に味わえるのだとも言えるだろう。

これに比べればベームやクレンペラーの「魔笛」はあまりにも一面的であり、モーツァルトの驚くべき変化に富んだ音楽の魅力を、かなり失っていると言わざるを得ない。

ワルターの真価をすでに認めている人にはともかく、疑問を持っている人にぜひ聴いてほしい演奏である。

この年(1956年)ワルターは現役引退を表明したのであった。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 20:54コメント(2)トラックバック(0)モーツァルト | ワルター 

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2014年05月07日 10:38
モーツァルト 魔笛の録音で一番のお気に入りは誰でしょうか。
今私は、セル指揮ザルツブルク音楽祭とこの演奏で考えています。

また魔笛の舞台上演映像でのお奇異に利は誰でしょうか。
個人的には、レヴァインがザルツブルク音楽祭の映像と、去年ラトルが指揮した部隊が好印象です。
2. Posted by 和田   2014年05月07日 13:02
「魔笛」のCDは、ワルター&メトロポリタン歌劇場、ベーム&ベルリン・フィルほかの演奏を気に入っています。
特にベーム盤のフィッシャー=ディースカウのパパゲーノの巧さは抜きん出ています。
映像作品だとサヴァリッシュ盤が演出も良く、グルベローヴァの夜の女王が聴きものとなっています。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ