2014年06月03日
ボニングのヴェルディ:歌劇「椿姫」
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マリア・カラスの後、ノルマやルチアといったベルカント・オペラで名をはせた歌手として、ジョーン・サザーランド(指揮者のボニング共々)の名前が筆頭に挙がる。
レナータ・スコットについて上記のような評価があるなら、サザーランドも似たような評があってもよさそうなものだ。
そう思ってサザーランドにとって2度目の録音になるこの「椿姫」を聴いてみると、何からなにまで楷書風の端正な演奏、歌といった印象で、少し戸惑い気味になった。
1926年生まれのサザーランドはこのCDのちょうど20年前、1959年にロンドンで「ランメルモールのルチア」のルチアを歌って大成功した。
20年の間にさすがに声の威力も衰え、何となく抑え気味だが、サザーランドは、美声を最大限に生かした大柄なヴィオレッタを、表情の変化に精一杯気を配り、たっぷりとしたテンポで歌っている。
そして、ヴィオレッタの姿が描き出され、第2幕のジェルモン(父)とのやりとり、第3幕などは単なる歌の技巧云々では魅力を感じる。
ヴィオレッタはオペラの女声・登場人物の中で特に魅力的で、一面では女性にしておくにはもったいないような性格も併せ持っている(侠道にあっても筋を通すだろう傑物)。
舞台を観ていれば衣装の視覚的効果もあってそんな印象は持たないだろうが、音だけで聴いているとそう感じる。
サザーランドの場合はそんな感じは限りなく薄まっている(旧録音はまた違う印象かもしれない)。
パヴァロッティのアルフレートは、サザーランドに合わせるようにおおらかにヒロイックに歌い切っている。
主役2人にも増して、マヌグエラのジェルモンが好演で、第2幕のアリアの至難のカバレッタなどを、柔らかい声で巧みに歌っている。
ボニングの指揮もいつになく意欲的で、整然とした美しさをオーケストラから引き出している。
全体に大らかでゴージャスな美しさに満ちた演奏だ。
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