2014年06月04日
E・クライバーのウェーバー:歌劇「魔弾の射手」
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クライバー親子が、2人揃って「このレベル」の音楽家になったと言うのは、殆ど前例のない、奇跡的な事ではないだろうか?
2人とも残した録音の数は多くない。
エーリッヒは経歴上の最盛期に戦争による中断や早過ぎる突然の死等外的理由だが、カルロスはレパートリーの狭さと比較的早かった自主的な隠棲等自己原因が主だったと思う。
そうした中で「魔弾の射手」では親子共録音を残しているところが面白い。
2人の違いと言えば、カルロスはその天才的な閃きを感じさせる指揮で同時代の同業者から羨望の目で見られる存在だった。
彼が残した幾つかの実演の録音にはその刻印がはっきりと残されている。
一方、エーリッヒには天才的な閃きはなかったかと言えば、筆者はあったと感じる。
違いは、エーリッヒにはその天才的な閃きを実際の音として間違いなく実現するより鍛え上げられた、該博で揺るぎない技があった。
その為、天才的な閃きだけが目立つと言う事がなかったのだと思う。
エーリッヒ・クライバーの「魔弾の射手」は、戦後出来たばかりのケルンの西ドイツ放送局の交響楽団と合唱団と言う新しいアンサンブルを相手に1955年3月15〜20日に行われた放送録音が音源だ。
序曲だけを聴くと俄仕立ての楽団に特有の生硬さ荒さが目立つのだが、オペラが進むに連れ、劇的な起伏に富み、流れの良い音楽運びが醸し出す緊張感、歌の魅力等でオーケストラ、合唱とも巻き込まれて行き、すばらしいアンサンブルになって行くところがエーリッヒの凄さだ。
録音はモノラルだが、この時代の録音としては質が高く、音楽的にはこのオペラの最も成功した録音だと思う。
配役はアガーテ:エリーザベト・グリュンマー/エンヒェン:リタ・シュトライヒ/マックス:ハンス・ホップ/カスパール:マックス・プレープスト/隠者:クルト・ベーメ/オットカール:アルフレート・ペル/クーノ:ハイナー・ホルン/キリアン:クルト・マルシュナー等、当時のドイツを代表的な歌手を主体としたアンサンブルだ。
特にアガーテのグリュンマーとエンヒェンのシュトライヒは役柄に与えられた性格を巧く歌い出しており、ホップの悩めるマックスも悪くない。
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