2022年10月28日

音質を超えて伝わってくる🔈強度のリアリティに圧倒される👴トスカニーニ&コロン劇場管🕋ベートーヴェン:交響曲第9番💗


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本盤に収録されているトスカニーニのベートーヴェン「第9」は1941年7月24日におけるブエノスアイレスのコロン歌劇場でのライヴであるが、これは「トスカニーニの1941年ブエノスアイレス・ライヴ」として、クラシック・ファンの間ではかなり有名な演奏である。

これまでにもアリオーソなど、一部のヒストリカル・レーベルからリリースされたこともあるが、それらは入手が難しくて、実際に聴くのはこれが初めてである。

もっとも、音質的には良好とはちょっと言い難く、アナログ・テープ再生時独特のノイズ・レベルがかなり高いし、音場もこもり気味で、録音年代を考慮しても音質水準はそれほど高くはないようである。

しかし、その音質から伝わってくるアンサンブルの燃焼力、そして演奏自体の張り詰めた緊迫感がただごとでなく、例えばフルトヴェングラーのバイロイトの「第9」のように、音質を超えて伝わってくる強度のリアリティに、聴いていて圧倒させられる。

一聴すると、まず第1楽章冒頭の強奏部から凄まじいティンパニの強打に驚かされるし、その後の不気味なほどのうねりが圧倒的である。

たとえば展開部(4:46)での爆発的な強奏といい、(5:55)での度を越したティンパニの激打といい、トスカニーニの流儀による推進性みなぎる音楽の流れの中から、恐ろしいほどのダイナミクスが常に充溢しているし、再現部からコーダにかけてのテンションの高さも、常軌を逸したような凄味に満ちていて圧倒させられるものである。

他の楽章も同様だが、第2楽章は第1楽章より音質が一段鮮明で、演奏の迫力感は殆ど常軌を逸している。

逆に終楽章は相対的に音質が落ち、局面によってはやや聴き苦しい。

そのためか否か、トスカニーニの指揮も前半2楽章ほどの凄味には欠けるようにも思える。

それでもアンサンブルのものすごい燃焼力はジリジリ伝わってきて、やはりこれは並の演奏ではないという印象は、最後まで揺るぎなかった。

オケは南米ブエノス・アイレスのテアトル・コロン・オーケストラ(ケルン歌劇場のオーケストラ)で、弱いセクションを(特に木管楽器を中心に)補強しており、NBC交響楽団のメンバーも加わっている。

とは言っても、腕利きのメンバー(特に弦楽セクション)がいることは間違いない(所々、見事なアンサンブルが聴ける)。

時代(第2次大戦中だから)からしても、亡命演奏家が多く参加しているであろうから、当然であろう。

しかしながら、この録音の魅力は、たとえばNBC交響楽団との演奏ではオーケストラの壮麗なサウンドに耳を奪われて見落としがちになる、デモーニッシュな表現が剥き出しになっていること。

全体に独特の白熱感があり、最後の猛烈な拍手の嵐もうなずけるものである。

あくまでも、ドキュメントとしての価値が高いものであるが、演奏としても激しい熱狂の「第9」として、聴いて損はない。

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classicalmusic at 15:05コメント(2)ベートーヴェン | トスカニーニ 

コメント一覧

1. Posted by 齊藤   2022年01月17日 12:02
クラッシック好きで もう50年程前からトスカニーニを聴いていましたが5年程前にこのCDを購入。びっくりしました。このコンサートに行きたい! そう思いました。NBCの録音ではラメールと展覧会の絵が好きですが 1930年代のニューヨークフィルの録音が好きかも?
2. Posted by 和田   2022年01月17日 12:57
齊藤さん、初めてのコメントありがとうございます。50年もお聴きになられているとは凄いですね。感服致します。トスカニーニのニューヨーク・フィル時代の録音はいずれも彼の絶頂期の名演揃いであり、20世紀前半の管弦楽演奏が到達した最高水準の記録です。ベートーヴェン第7番は明快・端正で彫りが深く、しかも内面の緊張力と動感が凄まじく、今なお新鮮な感銘を与えます。ハイドン「時計」も古典主義的美感の極致といえるほど端麗な名演で、モーツァルト「ハフナー」はレコード史上に残るこの曲の最高の演奏です。ハイドンはトスカニーニがニューヨーク・フィルの常任指揮者に就任した直後の録音で、ベートーヴェンは7年間勤めてきた常任指揮者の地位を辞任する直前に録音したレコードの一つです。これらの曲目はいずれも後年のNBC響との録音でも聴くことができますが、NBC響との演奏は厳しく緊迫感のある表現となっています。一方、ニューヨーク・フィルとの演奏は驚くほど自由な雰囲気をもっており、表現もこなれていて後年の演奏には見られない美しさがあり、一段と白熱的でもありました。とりわけベートーヴェンは傑出した名演です。1951年のNBC交響楽団とのRCA盤も素晴らしいのですが、厳格すぎて自由な雰囲気が欠如しています。ニューヨーク・フィルの黄金時代に録音されたこの円熟した演奏とは比較になりません。80年以上前の音ながら、充分に鑑賞に耐え得る音質です。またのコメントお待ちしております。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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