2014年06月06日

トスカニーニ&ウィーンフィルの「マイスタージンガー」


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演奏は音質はともかく、この「マイスタージンガー」を聴いてこれがトスカニーニと想像できる人は少ないであろう。

まずテンポがゆったりしていて、トスカニーニのテンポは速いという定説をくつがえすものである。

もっともワーグナーに関してはトスカニーニは全般に遅めのテンポであったらしい。

バイロイト音楽祭における「パルジファル」で最も長い時間の演奏はトスカニーニであると読んだ記憶がある。

この「マイスタージンガー」がトスカニーニらしくないのは彼特有の整然とした時の刻みが聴かれないのが大きな原因である。

特にホルンなどが昔風の野太い音を張り上げ、リズムも間延びしている。

この時代のホルンの技術がこの程度でそれ以上の要求は無理であったのか、トスカニーニが伝統的様式を敢えて尊重しているのかはわからない。

歌手も今日的なレベルから言えば、音程が不正確でやはりリズムが間延びすることが少なくない。

一方、現代のワーグナー歌手の歌い方はオーケストラの整然とした流れの中に組み込まれ、ひとつの言葉やモチーフに感情を込めた方式は希薄になっている。

この「マイスタージンガー」の歌手の歌い方はまさに後者に属するものであるし、この時代の様式に合致するものである。

ちなみに現代ワーグナー演奏様式を打ち立てたひとりはカラヤンであろう。

この事情は1967年、ザルツブルク復活祭音楽祭における「ワルキューレ」の公演に関する記録で知ることができる。

話は戻るが、トスカニーニは1937年の公演では伝統的様式に従っていると言える。

トスカニーニはヨーロッパの伝統的様式の改革者として登場し、華々しい成功を収め、20世紀の音楽史に大きな影響を与えた人のはずである。

この事情はオットー・シュトラッサーの著書にもかなり詳しく書かれており、非常に興味深いものがある。

この「マイスタージンガー」はトスカニーニの信条に反するものかも知れない。

これはあくまで想像であるが、トスカニーニは常に自分の主張を通すのではなく、時と場合により柔軟な対応ができる人であったのではないかと思う。

特にワーグナーに関しては遅いテンポを採用したことからも、トスカニーニ自身がワーグナーを聖域と考え、むしろ伝統的様式を楽しんでいたのかも知れない。

そんな勝手な想像をしてしまうくらいこの「マイスタージンガー」の演奏は意外であり、また興味深いものである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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