2014年07月17日

ケンプのバッハ:ゴルトベルク変奏曲


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数ある同曲の録音の中でもひときわ輝く1枚で、両手の声部が生き生きと対話し、変奏ごとの雰囲気の変化も楽しいゴルトベルク。

それでいて、1955年盤のグールドのような快活さと違い、落ち着いた深い精神性を感じさせる演奏だ。

また、こんなに優しく愛らしく、かつ自然で穏やかなバッハの演奏は、初めて聴いた。

この1枚にケンプという名ピアニストがどういう演奏を目指していたのかが凝縮されている。

現代では前提として完璧なテクニックが要求されるが、それが「一番大切な事ではない」ということを解らせてくれる良い例である。

現代のピアノでバッハを弾くとき、その機能を全く使おうとしないか、使い方を間違えている演奏が存在するが、ケンプのバッハ演奏は「なぜ現代のピアノでバッハを弾くのか? それにはどんな利点があるのか?」が良く解る。

有名なグールドの演奏も実はその辺りが良く考慮されているのだが、ケンプの方が解りやすいであろう。

この演奏を聴いた人がまず驚くのは、アリアでの装飾音の少なさのようだ。

装飾音がほとんど無いのでパサパサした演奏との評価も見たことがあるが、実際部屋に流してみると極上の空間が生まれる。

それに現代ピアノの特性を考えた場合、装飾音の問題はないし、アリアの骨格が浮き彫りになることでその後の変奏が分かりやすくなっていて、変奏曲として非常に高度な演奏である。

完成度という点では後の超絶技巧演奏に譲るが、グールド以後の、大多数の表層をいじっただけの演奏よりも遥かに独自性を出していて、素晴らしい演奏の1つである。

過去にCD化された他のゴルトベルク変奏曲とは聴き終えた後の重量感が違う。

時代、演奏家を超えた何かが記録されている気がする。

グールド・ショックも古楽運動も一段落した今だからこそ、この演奏の価値はますます高くなっているようだ。

現代が忘れてしまった数多くのことが詰まっており、本当に大切なことを語りかけてくれる。

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classicalmusic at 00:44コメント(0)トラックバック(0)バッハ | ケンプ 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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