2014年06月09日
ルプー&プレヴィンのグリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲[SACD]
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グリーグとシューマンのピアノ協奏曲をカップリングしたCDはあまた存在しているが、本盤のルプー、そしてプレヴィン&ロンドン交響楽団による演奏は、おそらくは最も透明感溢れる美しさを誇るものと言えるのではないだろうか。
何と言っても「千人に一人のリリシスト」と称されるだけあって、ルプーのピアノ演奏はただただ美しい。
グリーグのピアノ協奏曲は、どこをとっても北欧の大自然を彷彿とさせるような抒情豊かな美しい旋律に彩られた楽曲であるが、ルプーは、透明感溢れるピアノタッチで曲想を描き出しており、その清澄な美しさには抗し難い魅力に満ち溢れている。
いかなるトゥッティに差し掛かっても、かかる美しさを失わないというのは、美音家ルプーの面目躍如たるものがあると言えるだろう。
もちろん、ルプーのピアノ演奏には、特別な個性を発揮するなど奇を衒ったところはなく、あくまでもオーソドックスな演奏に徹していることから、聴き手によってはいささか物足りないと感じる人も少なくないと思われるが、同曲の持つ根源的な美しさを徹底して追求するとともに、その魅力をピアニストの個性に邪魔されることなくダイレクトに聴き手に伝えることに成功した演奏とも言えるところだ。
その意味においては、ルプーは音楽そのものを語らせる演奏に徹しているとも言えるところであり、徹底した美への追求も相俟って、聴き手が安定した気持ちで同曲の魅力を満喫することが可能であることに鑑みれば、本演奏を素晴らしい名演と評価するのにいささかの躊躇をするものではない。
他方、シューマンのピアノ協奏曲については、その旋律の美しさのみならず、同曲の本質でもあるいわゆる「ファンタジーの飛翔」をいかに的確に表現することができるのかが鍵となる。
ルプーは、例によって、曲想を透明感溢れるピアノタッチで美しく描き出して行くが、そこには巧そうに弾いてやろうという邪心は微塵もなく、ただただ音楽の根源的な美しさを聴き手に伝えることに腐心しているようにさえ思われるところだ。
したがって、ルプーの表現に何か特別な個性のようなものを感じることは困難ではあるが、そうした虚心坦懐な真摯な姿勢が、同曲の本質でもあるいわゆる「ファンタジーの飛翔」が演奏の随所から滲み出してくることに繋がり、結果として同曲の魅力を聴き手に十二分に伝えることに成功したと言えるのではないだろうか。
いずれにしても、本演奏は、同曲の数ある名演の中でも、徹底してその美しさを追求した素晴らしい名演と評価したい。
両曲のルプーのピアノ演奏のサポートをつとめたのはプレヴィン&ロンドン交響楽団であるが、ルプーの美しさの極みとも言うべきピアノ演奏を際立たせるとともに、聴かせどころのツボを心得た見事な名演奏を展開しているのを高く評価したい。
音質は、英デッカによる優秀録音であるのに加えて、リマスタリングが行われたこと、更にSHM−CD化(現在では入手難)が図られたこともあって、十分に満足できるものであった。
しかし、今般待望のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化が行われる運びとなった。
音質の鮮明さ、音場の幅広さ、そして音圧のいずれをとっても一級品の仕上がりであり、あらためてシングルレイヤーによるSACD盤の潜在能力の高さを思い知った次第である。
いずれにしても、ルプーやプレヴィン&ロンドン交響楽団による素晴らしい超名演を、望み得る最高の音質であるシングルレイヤーによるSACD盤で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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