2014年06月09日

テンシュテット&ロンドン・フィルのシューベルト: 交響曲第8番「未完成」、ブルックナー: 交響曲第4番「ロマンティック」(1984年来日公演)[SACD]


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テンシュテットといえば、近年発掘された様々な壮絶な名演によって、ますますその人気が高まっているが、いわゆるマーラー指揮者のイメージが強いと言えるのではないだろうか。

確かに、これまでに発売されたマーラーの交響曲の圧倒的な超名演の数々を考えてみれば、それは致し方がないことと言えるのかもしれない。

しかしながら、テンシュテットは、ブルックナーの交響曲の録音もかなりの点数を遺している。

すべての交響曲を録音しているわけではないが、第3番、第4番、第7番、第8番については、自らのレパートリーとしてコンサートでもたびたび採り上げていたと言えるところだ。

そうした4曲の交響曲の中でも、テンシュテットが最も採り上げた交響曲は第4番であった。

最初及び2度目の録音はベルリン・フィルとのスタジオ録音及びライヴ録音(1981年)、3度目の録音は、本盤に収められたロンドン・フィルとの来日時のライヴ録音(1984年)、そして4度目の録音がロンドン・フィルとのライヴ録音(1989年)となっている。

これから新たなライヴ録音が発掘されない限りにおいては、交響曲第4番は、テンシュテットが最も録音したブルックナーの交響曲と言えるであろう。

テンシュテットによる同曲へのアプローチは、朝比奈やヴァントなどによって1990年代にほぼ確立された、いわゆるインテンポを基調とするものではない。

テンポの振幅や思い切った強弱の変化を施すなどドラマティックな要素にも事欠かないところであり、テンシュテットが得意としたマーラーの交響曲におけるアプローチに比較的近いものと言える。

したがって、こうしたテンシュテットによるアプローチは、交響曲第7番や第8番においては若干そぐわないような気がしないでもないが、第4番の場合は、相性がいいのではないかと思われるところだ。

4つの演奏のいずれも名演であるが、やはり演奏の持つ根源的な迫力という意味においては、第1に1989年盤、そして第2に本盤の演奏を掲げるべきであろう。

本盤の演奏におけるテンシュテットのアプローチも、比較的ゆったりとした曲想の進行の中に、前述のようなドラマティックな要素(とりわけ第3楽章)を織り交ぜたものとなっている。

もっとも、スケールが小さくなることなど薬にしたくもなく、ブルックナーの本質をいささかも逸脱することがないというのは、テンシュテットの同曲への深い理解と愛着の賜物と言えるところだ。

オーケストラは、必ずしも一流とは言い難いロンドン・フィルではあるが、テンシュテットの圧倒的な統率の下、ベルリン・フィルにも比肩し得るような見事な名演奏を展開しているのが素晴らしい。

いずれにしても、本盤の演奏は、テンシュテットならではの圧倒的な名演と高く評価したい。

カップリングのシューベルトの交響曲第8番「未完成」は、ブルックナーの交響曲第4番とは一転して、いかにもドイツ風のオーソドックスな名演だ。

音質については、FM東京の音源だけに従来CD盤でも比較的良好な音質であったと言えるが、今般のシングルレイヤーによるSACD盤を聴いて大変驚いた。

従来CD盤とは次元が異なる見違えるような鮮明な音質に生まれ変わった。

いずれにしても、テンシュテットによる圧倒的な名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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