2014年09月10日
プレヴィン&ロンドン響のチャイコフスキー:白鳥の湖[SACD]
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本盤には、プレヴィンが当時の手兵であるロンドン交響楽団とともに1970年代にスタジオ録音したチャイコフスキーの3大バレエ音楽のうち、最晩年の傑作「白鳥の湖」全曲が収められている。
プレヴィンは、クラシック音楽の指揮者としてもきわめて有能ではあるが、それ以外のジャンルの多種多様な音楽も手掛ける万能型のミュージシャンと言える。
したがって、本演奏においてもそのアプローチは明快そのもの。
楽曲を難しく解釈して峻厳なアプローチを行うなどということとは全く無縁であり、楽曲をいかにわかりやすく、そして親しみやすく聴き手に伝えることができるのかに腐心しているように思われる。
したがって、ベートーヴェンなどのように、音楽の内容の精神的な深みへの追求が必要になってくる楽曲においては、いささか浅薄な演奏との誹りは免れないと思うが、起承転結がはっきりとした標題音楽的な楽曲では、俄然その実力を発揮することになる。
本盤に収められたチャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」は、そうしたプレヴィンの資質に見事に合致する楽曲と言えるところであり、加えて若さ故の力強い生命力も相まって、素晴らしい名演に仕上がったと言っても過言ではあるまい。
聴かせどころのツボを心得た演出巧者ぶりは心憎いばかりであり、プレヴィンの豊かな音楽性が本演奏では大いにプラスに働いている。
クラシック音楽入門者が、バレエ音楽「白鳥の湖」を初めて聴くに際して、最も安心して推薦できる演奏と言えるところであり、本演奏を聴いて、同曲が嫌いになる聴き手など、まずはいないのではないだろうか。
いずれにしても、プレヴィンによる本演奏は、チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」(全曲)には、ロジェストヴェンスキー、ゲルギエフなどによるロシア風の民族色溢れる名演や、アンセルメやデュトワによる洗練された色彩美を誇る名演などがあまた存在しているが、安定した気持ちで同曲を魅力を味わうことができるという意味においては、第一に掲げるべき名演と評価したい。
音質は今から40年ほど前の録音であるが、従来CD盤でも比較的満足できる音質であった。
数年前にリマスタリングも施されたことによって、音質は更に鮮明になるとともに音場が幅広くなったように感じられるところであり、筆者も当該リマスタリングCD盤を愛聴してきたところだ。
しかしながら、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって大変驚いた。
従来CD盤やリマスタリングCD盤とは次元が異なる見違えるような、そして1970年代のスタジオ録音とは到底信じられないような鮮明な音質に生まれ変わった。
いずれにしても、プレヴィンによる素晴らしい名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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