2014年06月26日
田部京子&カルミナSQのシューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》/シューマン:ピアノ五重奏曲
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ユニバーサルが一昨年夏ごろからシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の発売を開始したが、それから約1年が経過して、日本コロムビアも同様にシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤に踏み切った。
この価格が適正かどうかはともかくとして、EMIなども含め、昨年来の大手レコード会社によるSACD化への積極的な取組については大いに歓迎したい。
本盤に収められたシューベルトとシューマンのピアノ五重奏曲は、今をときめく弦楽四重奏団であるカルミナ弦楽四重奏団が田部京子を迎えてスイスにてスタジオ録音を行ったものであるが、両曲ともに素晴らしい名演と高く評価したい。
何よりも田部京子の気品溢れるピアノ演奏が素晴らしい。
ロマン派を代表するピアノ五重奏曲だけに、ロマンティシズム溢れる名旋律の宝庫でもある両曲であるが、田部京子は一音一音を蔑ろにせずに精緻に、そして情感豊かに曲想を描き出しているところだ。
ある意味ではオードドックスとも言えるアプローチであるが、田部京子の場合は、どこをとっても気品と優美さを失っていないのが見事である。
情感を込めるあまり全体の造型が弛緩したり、はたまた陳腐なロマンティシズムに拘泥するようなことは薬にしたくもなく、どこをとっても格調の高さを失っていないのが田部京子のピアノ演奏の最大の美質である。
カルミナ弦楽四重奏団は、現代を代表する弦楽四重奏団として、現代的でシャープな演奏を特徴としているが、本盤の演奏においては、そうした片鱗を感じさせはするものの、共演に田部京子も得て、この団体としてはオーソドックスなアプローチに徹しており、奥行きのある豊かな情感に満ち溢れた名演奏を展開しているとも言えるのではないだろうか。
いずれにしても、本盤の演奏は、田部京子とカルミナ弦楽四重奏団の抜群の相性の良さが功を奏した素晴らしい名演として高く評価したい。
音質は、数年前にマルチチャンネル付きのハイブリッドSACD盤が発売され、それは極上の高音質であった。
それに対して、本盤はシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤であり、その比較は困難を極めるとも言える。
これほどのハイレベルの高音質になると、後は好みの問題とも言えるが、筆者としては、音質が若干シャープかつより鮮明になったという意味において、本盤のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤の方をより上位に掲げたい。
いずれにしても、田部京子&カルミナ弦楽四重奏団による素晴らしい名演を、現在望み得る最高の高音質SACD盤で味わうことができるのを大いに歓迎したい。
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