2014年06月21日
ブーレーズ&クリーヴランド管のマーラー:交響曲第4番
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ブーレーズはDGに相当に長い年数をかけてマーラーの交響曲全集を録音した。
演奏は、あらゆる意味でバーンスタインやテンシュテットなどによる濃厚でドラマティックな演奏とは対極にある純音楽的なものと言えるだろう。
ブーレーズは、特に1970年代までは、聴き手の度肝を抜くような前衛的なアプローチによる怪演を行っていた。
ところが、1990年代にも入ってDGに様々な演奏を録音するようになった頃には、すっかりと好々爺になり、かつての前衛的なアプローチは影を潜めてしまった。
もっとも、必ずしもノーマルな演奏をするようになったわけではなく、そこはブーレーズであり、むしろスコアを徹底的に分析し、スコアに記されたすべての音符を完璧に音化するように腐心しているようにさえ感じられるようになった。
もちろん、スコアの音符の背後にあるものまでを徹底的に追求した上での演奏であることから、単にスコアの音符のうわべだけを音化しただけの薄味の演奏にはいささかも陥っておらず、常に内容の濃さ、音楽性の豊かさを感じさせてくれるのが、近年のブーレーズの演奏の素晴らしさと言えるだろう。
本演奏においても、そうした近年のブーレーズのアプローチに沿ったものとなっており、マーラーの「第4」のスコアを明晰に紐解き、すべての楽想を明瞭に浮かび上がらせるようにつとめているように感じられる。
それ故に、他の演奏では殆ど聴き取ることが困難な旋律や音型を聴くことができるのも、本演奏の大きな特徴と言えるだろう。
さらに、ブーレーズの楽曲への徹底した分析は、演奏の表層においてはスコアの忠実な音化であっても、その各音型の中に、かかる楽曲の心眼に鋭く切り込んでいくような奥行きの深さを感じることが可能である。
これは、ブーレーズが晩年に至って漸く可能となった円熟の至芸とも言えるだろう。
いずれにしても本演奏は、バーンスタイン&コンセルトヘボウ・アムステルダムによる名演(1987年)とあらゆる意味で対極にあるとともに、カラヤン&ベルリン・フィル(1979年)の名演から一切の耽美的な要素を拭い去った、徹底して純音楽的に特化された名演と評価したい。
第4楽章におけるバンセもそういったブーレーズの解釈と意図に沿った歌唱を行っている。
このようなブーレーズの徹底した純音楽的なアプローチに対して、最高のパフォーマンスで応えたクリーヴランド管弦楽団の卓越した演奏にも大きな拍手を送りたい。
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