2014年06月25日
クーベリック&バイエルン放送響のヤナーチェク:シンフォニエッタ/ドヴォルザーク:交響曲第6番(1981年ライヴ)
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ドヴォルザーク作品の中でも屈指のボヘミア的作品と言われる「第6」交響曲と、同じく民族的ながらもきわめて壮麗なヤナーチェクの《シンフォニエッタ》の組み合わせ。
どちらもクーベリックの得意なレパートリーであり、いずれの作品においてもまずは指折られるべき名演奏と言えるだろう。
このオルフェオから出されたライヴ録音は、ただでさえ筆者の垂涎のカップリングである上に、演奏も空前の名演であるとされているから、完全に溺愛しているCDである。
クーベリックのヤナーチェク《シンフォニエッタ》のCDは正規盤だけで5種類に及ぶ。
1946年の亡命前のチェコ・フィルとのもの、ウィーン・フィルとの1955年頃のモノラルのスタジオ録音と、時期を接したライヴ録音、1970年代に入ったばかりのDGへのバイエルン放送響とのスタジオ録音に、この1980年代のバイエルン放送響とのライヴである。
録音の時期も適当にばらついており、比較しやすい特徴もあるが、ウィーン・フィルとの2種類は出来が芳しくない。
むしろ、若いときに残したチェコ・フィルとの録音に魅力を感じる。
DGとのものは、定評のある名盤であり、とても優れた演奏で、客観的な安定した標準的名演として永く語られるであろう録音である。
この1981年のライヴは、少々バランスはDG盤に劣ると思われるが、ヤナーチェクへのクーベリックの思いが、よりストレートに表出されている点で優れている。
その分、リズムが幾らか刺激的に刻まれており、ヤナーチェクの語法が生々しく語られるさまは、好きな者にとって快感ですらある。
筆者がイメージするボヘミアの情景に最も近いのが、クーベリックのドヴォルザーク「第6」であるという基本的な考え方は、DG盤を聴いて以来、個人的には未だに変わってはいない(少なくともこの曲におけるクーベリックの絶対的優位性は、筆者にとって一度も崩されていない)。
当盤のドヴォルザークの「第6」は特にその感が強く、熱心な愛好家以外にはあまり馴染みのないこの作品が、ドヴォルザークならではの美しい旋律美にあふれた魅力作であることを教えてくれる。
特にアダージョ楽章の質朴な味わいは、バイエルン放送響木管セクションの巧さも手伝って秀逸、続く第3楽章もさながら“スラヴ舞曲”の趣きで楽しめる。
もちろん、前半の《シンフォニエッタ》も含め、溢れかえる民族的要素を決して泥臭くならずに表出するクーベリックなればこその名演であることは言うまでもないことであろう。
特に弦楽セクションの瑞々しさはこれまでにない美点で、クーベリックの採るヴァイオリン両翼型配置の妙味もなおさら際立つ。
ただ、DG盤とこのライヴ録音を比較すると、細部で相当な心境の変化がクーベリックに生じたことを吐露した録音とも言え、とても興味深い。
それが彼の本質的な解釈の変化なのか、それともDG盤がベルリン・フィルで、このオルフェオ盤が直前まで手兵だったバイエルン放送響によるものかは、分からない。
しかし、クーベリックは本質的な解釈自体をライヴであるからといって変えることはなかったので、クーベリックの心境の変化だと捉えている。
ドヴォルザークの「第6」をクーベリックで聴くと後期3大交響曲を上回る大名作に聴こえるから不思議だ。
巨匠が晩年敢えて取り上げた曲だけに値千金の重みがある。
音質が大変に良好なことも朗報で、《シンフォニエッタ》終曲のフィナーレなど素晴らしい響きだ。
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