2014年06月28日

バックハウス&ショルティのベートーヴェン『皇帝』(1956年ライヴ)、他


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



鍵盤の師子王と呼ばれたバックハウスと若き日に強烈無比な演奏をしていたショルティというとんでもなく衝撃的な顔合わせのケルンでのライヴ録音の登場だ。

バックハウスが残した『皇帝』協奏曲には3種のセッション録音の他にもシューリヒトやクナッパーツブッシュとのライヴ録音があったが、これにまだ少壮であったショルティとの爽快な共演が加わった。

バックハウスが72歳(1884年3月生まれ)、1956年の『皇帝』は、まだ43歳で血気盛んなショルティ(同年ザルツブルク音楽祭にデビュー)との願ってもない顔合わせで、衰え知らずその一歩もゆずらぬやりとりからライヴの醍醐味ここに尽きるといった感で屈指の聴きもの。

ピアノ協奏曲はピアノのためにあるのだとつくづく感じさせる演奏でもあり、バックハウスの巨大な度量は計り知れない。

録音当時バックハウスは年齢的には老年期であったが、最晩年の枯淡の境地に至る前の最円熟期の演奏と言えるものであり、そのピアノの鳴りっぷりの良さは燦然たる素晴らしさだ。

ベートーヴェンを知悉し尽した境涯から生まれる即興性は、なるほどと唸らざるを得ない。

当時頭角をめきめきとあらわしつつあった生気のあるショルティの演奏もさわやかな白熱ぶりで楽しく、その指揮ぶりは、筆者の好む、アシュケナージ、シカゴ響との録音を思い出させる新鮮でエネルギッシュなもの。

バックハウスはこれから3年後に、S=イッセルシュテット&ウィーン・フィルとかの有名なデッカ録音を残すことになるのだが、この時期にかくも立派な演奏が繰り広げられていたとは!

魔性の魅惑を備えた演奏ではないが、王道を行く名演のひとつと言えるものであり、久しぶりに『皇帝』らしい『皇帝』を聴いた満足感に満たされた。

また、2度目のスタジオ盤全集中の録音と同じ年にあたる『ワルトシュタイン』ソナタのライヴでは揺るぎない打鍵が圧倒的に素晴らしく、堅牢な構築美と風格ある技巧で強い感銘を与える名演だ。

バックハウスによる不滅のベートーヴェン演奏が味わえる。

ショパンのエチュードはSP時代に決定的名盤を残したバックハウスの切り札なのだが、実演ではこれが唯一の記録だろう。

演奏は取り立てて評するところはないが、曲間で指慣らしの和音を挿入して、次の曲の調性へ誘うバックハウスならではの余興があるのが乙だ。

ショパンを除くすべて、WDRのオリジナル・マスターからの復刻でやはりこの年代としては驚異的な音質で蘇ったことも大きな収穫である。

これは筆者にとって貴重な1枚となった。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 00:46コメント(0)トラックバック(0)バックハウス | ショルティ 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ