2014年07月03日

カラヤン&べルリン・フィルのベートーヴェン:交響曲全集(1980年代)


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



本盤に収められたベートーヴェンの交響曲全集は、DVD作品を除けばカラヤンによる最後の全集ということになる。

カラヤンは、フィルハーモニア管とともに1度、手兵であったベルリン・フィルとは本全集を含め3度に渡って全集を録音しているが、いずれも名演である。

最初のフィルハーモニア管との録音はモノラル録音(第8番のみステレオ録音)ではあるが、若き日のカラヤンならではの颯爽とした清新さが魅力であった。

次いで、1960年代に録音されたベルリン・フィルとの最初の全集は、いまだベルリン・フィルにフルトヴェングラー時代の猛者が数多く在籍していた時代の演奏でもあり、全体的にはカラヤンならではの流麗なレガートが施された華麗な装いであるが、これにベルリン・フィルのドイツ風の重厚な音色が付加された独特の味わいに満ち溢れた名演に仕上がっていた。

また、1970年代に録音されたベルリン・フィルとの2度目の全集は、カラヤンの個性が全面的に発揮された演奏と言うことが出来るだろう。

この当時は、カラヤン&ベルリン・フィルの黄金時代であり、ベルリン・フィルの一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブル、ブリリアントなブラスセクションの朗々たる響き、桁外れのテクニックを披露する木管楽器の美しい響き、そしてフォーグラーによる雷鳴のようなティンパニの轟きなどが一体となった圧倒的な演奏に、カラヤンならではの流麗なレガートが施された、まさにオーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築に成功している。

カラヤンによるベートーヴェンの交響曲全集の代表盤と言えば、やはり1970年代の当該全集ということになるのではないだろうか。

これに対して、1980年代に録音された本全集であるが、1970年代の全集などと比較するとカラヤンの統率力に若干の綻びが見られるのは否めない事実である。

1970年代に頂点を迎えたカラヤン&ベルリン・フィルの黄金コンビも、本全集の録音が開始された1982年にはザビーネ・マイヤー事件の勃発により大きな亀裂が入り、その後も悪化の一途を辿った。

本全集は、このような両者の闘争の渦中での録音ではあり、お互いにプロフェッショナルとして高水準の演奏を成し遂げてはいるが、カラヤンの健康悪化に伴う統率力の衰えについては、隠しようはなかったものと考えられる。

それ故に、どの曲もカラヤンによるベストの演奏とは言い難いが、それでも第2番や第9番の緩徐楽章などにおいても見られるように、1970年代の全集までにはなかった清澄な調べも聴くことが可能であり、カラヤンが自らの波乱に満ちた生涯を振り返るような趣きのある枯淡の境地とも言うべき味わい深さを含有している演奏と言うことができるのではないだろうか。

したがって、本全集はカラヤン、そしてベルリン・フィルによるベストフォームにある演奏とは言い難いが、晩年のカラヤンならでは人生の諦観を感じさせるような味わい深さといった点においては、名全集との評価をするのにいささかの躊躇をするものではない。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 21:10コメント(0)トラックバック(0)ベートーヴェン | カラヤン 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ