2014年07月04日

ジュリーニのモーツァルト:レクイエム(新盤)


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同じオーケストラ(フィルハーモニア管弦楽団)を指揮しての2度目の録音であるが、重苦しい1度目の演奏とは全く趣を異にしている。

ゆっくりとしたテンポながら、重さを生まず、流麗なカンタービレや緻密なアンサンブルが透明度を高めている。

モーツァルトに限らず、レクイエムは葬送の曲であるから、どうしても重苦しいのだが、この演奏には重苦しいはずの曲も重苦しくないものにしてしまう不思議さがある。

明澄で透明感があり、ゆったりとしたテンポながら、独特のテンションでフレーズラインを維持していくスタイル。

荘厳なドラマを繰り広げるわけでもなく、悲痛な悲しみを訴えるわけでもない。

しかし聴き進むほどに、深く心に沁み入り、優しく心を癒してくれるので、これこそがモーツァルトの音楽ではないかとすら思うほどだ。

聴いている途中、テンポが遅くて、こちらが息切れしてしまいそうなところが所々あるが、このこと以外は申し分がない。

筆者はこのCDを初めて聴いたとき、最初は非常に遅いテンポという印象だけが残った(それが晩年のジュリーニの特徴なのだが)。

しかし、何とはなしに繰り返し聴き返してみると、ふと「このレクイエムは何と美麗なのだろう」と強い印象を受けるようになった。

それ以来、ワルターやベーム、カラヤンらの名盤と並ぶ、筆者の愛聴盤の1つとなっている。

もちろん他にもジュリーニの様々な演奏を聴いてきたが、やはりイタリア人指揮者というべきか、声楽曲を本当に美しく演奏する(バッハのミサ曲ロ短調の名演を想起させる)。

とはいえ、オリジナル楽器による演奏が普及した今日、こういったスタイルではやはり前時代的な印象は否めない。

しかしこの演奏は、それはそれとしてかなりの完成度に達しており、所々年齢ゆえの衰えを感じさせはするものの、この名指揮者ならではの世界を作り出しているのはさすがである。

フレッシュな歌唱陣の活躍にも注目で、ソリストは旧録音よりもこちらの方が声質がマッチしており、コーラスもとても巧く、フレーズラインをきちっと支えていく技量は見事。

少し不用意に聴くと「白痴美」ととられかねない危うさがあるものの(晩年のジュリーニ全般に言えることであるが)、このゆったりとしたテンポと、軽やかな透明感で、なおかつこのフレーズラインの持続感は、誰にも真似ができないものだ。

暖かさと慈愛の感じられる素晴らしいジュリーニのレクイエムで、何度聴いても飽きがこない。

録音は残響を多めにとり入れたものだが、オケと声部のバランスが絶妙に捉えられており、声部がよく聴き取れるのが嬉しい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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