2014年07月05日
ボレットのショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番(デュトワ)、バラード全集、舟歌、幻想曲
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キューバ生まれのピアニスト、ホルヘ・ボレットは、その独特な雰囲気のある演奏で、現在でも、特に玄人筋に人気の高いピアニストの1人である。
フィラデルフィアのカーティス音楽院でゴドフスキーとサパートンに師事し、驚異的な技術を身につけた。
当時から超絶技巧ピアニストとして知られ、とりわけ師であるゴドフスキーの「こうもりパラフレーズ」では高い評価を受けている。
また、指揮者としても活躍し、ギルバート&サリヴァンの「ミカド」の日本初演で指揮をしていることでも知られている。
そんなボレットの真骨頂がリストと、このショパンの演奏であろう。
このピアノ協奏曲におけるデュトワとの共演盤は超名演として知られるもので、19世紀から連なるロマンティックなボレットの解釈と、それを包み込むデュトワ&モントリオール響のふくよかな響きを堪能できる。
ピアノ協奏曲第1番でボレットは冒頭から少しも構えず、力まず、速いテンポで飄々と弾き始める。
彼の手にかかると同じ主題でも表情が微妙に変化し、そのロマンティシズムが心を打つ。
フィナーレの即興性も比類ない。
ピアノ協奏曲第2番も同様だがいっそう個性的だ。
第2楽章は完熟の音楽であり、第3楽章の力みのない名人芸は筆舌に尽くし難い。
注目すべきはデュトワの協奏曲指揮者としての才能で、並みでない手腕だ。
そんなボレット、2枚目のバラードを中心とした小品集では、さらに個性的な演奏を披露している。
リスト弾きとして本領を発揮してきたボレットによるショパンには、実に不思議な魅力がある。
これほど人間臭さのない美しく清浄なショパンも珍しい。
それは決して非人間的ということではなく、彼の演奏は4曲のバラードにしても舟歌や幻想曲にしても、実に豊かでこまやかな表現に満ちている。
6曲を通じて淡々とした、しかも覚めた孤独感が一貫して流れ、ボレットはその中で緩急自在だ。
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