2014年07月09日

ケーゲル/ショスタコーヴィチ:交響曲第4、5、6、9、11、14、15番


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第7番「レニングラード」の凄演で知られるケーゲルのショスタコーヴィチを7曲収めたBOXセットで、ムラヴィンスキー以外の最重要解釈者、ケーゲルのショスタコーヴィチ完結編。

このセットは1958年から1986年までのライヴ録音をまとめたもので、第4番と第11番はモノラルであるが、他の5曲はステレオ録音で、特に1986年の第5番は良い状態となっている。

東独の指揮者だったケーゲルは、同盟国ソ連の作曲家ショスタコーヴィチの作品をよく演奏していた。

現代音楽を積極的に取り上げる合理主義、理知的な音楽作りを一面として、本来はロマンティックな嗜好が強い指揮者であり、思い入れの強かったマーラー、ショスタコーヴィチでは、憧憬を隠そうともしない蠱惑的な演奏を繰り広げることでも知られる。

演奏記録からもケーゲルのショスタコーヴィチへの偏愛は窺われるが、特に演奏年代に注目していただきたい。

第11番に至ってはラクリンによる世界初演、ムラヴィンスキーによるレニングラード初演から半年も経たぬ1958年の演奏である。

モノラルとはいえムラヴィンスキー盤を上回る良好な音質で、その切実な音楽表現はトーンクラスターに陥らぬ、ケーゲルの個人的思い入れすら感じられる、熱く魅力的な超名演だ。

第4番はコンドラシン初演の2年後の録音も存在するが、演奏内容はフィナーレに一工夫も二工夫もある1969年ライヴを採りたい。

元来ステレオ録音されたもののトラックダウンで(ステレオ録音は残念ながら廃棄された模様)、分離の良い素晴らしい録音である。

現代では、大規模大音量交響曲として、多くの指揮者が取り上げているが、この時代に2回もの演奏に固執したケーゲルの先見性には頭が下がる。

壮年期のケーゲルならではの異常なまでの切れ味が作品の持ち味と合致して痛烈な仕上がりになっている。

ベルリン芸術週間(もちろん東ドイツの)における高揚したエッジの効いた強烈な表現に、ケーゲル晩年の特徴である虚無的な雰囲気も感じさせる独特の音楽づくりが印象的な第5番は、東のベルリン芸術週間での演奏ということもあってか、終楽章のコーダになぜか鐘が加えられていることもポイントで、『ボリス・ゴドノフ』を彷彿とさせるその巨大な響きは実にユニーク。

この第5番を聴くだけでも購入の価値ありと言いたいところであるが、他の6曲も聴き応え充分な内容だ。

オペラティックな趣のある第6番、スタイリッシュでセンス抜群な第9番(第6番と第9番は作品のパロディ的性格をシニカルに表している)、ドイツ語版ゆえにクールな感触が際立ち、「大地の歌」を想起せずにはいられない第14番「死者の歌」、緊迫感みなぎる冷徹演奏が作品の真価をシリアスに示しザンデルリンクの独壇場を脅かす恐怖演奏の第15番と、どれも高水準な内容となっている。

西側では知られていないだけで、実は最重要ショスタコーヴィッチ解釈者であった、巨匠の遺産である。

隅々まで注ぎ込まれた英知があり、聴き込んだファンほど納得することは間違いなしと言える。

ケーゲルも草葉の陰でこのリリースをさぞかし喜んでいることであろう。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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