2014年07月11日

ケーゲル&ライプツィヒ放送響のウェーベルン:管弦楽のための作品集[SACD]


この記事をお読みになる前に、人気ブログランキングへワンクリックお願いします。



近・現代の作品の演奏を得意としていたケーゲルのベスト・レコーディングのひとつ。

大方のケーゲルへの評価がそうであるが、ケーゲルは、20世紀前半の音楽が一番面白いようである。

この音盤は、そうしたケーゲルの演奏のなかでも、最も代表的なもののひとつで、ウェーベルンの主要な作品がほとんど網羅されている。

5曲とも大変素晴らしい演奏であり、ケーゲルの指揮ぶりは自信に満ち、どの曲を聴いても感性豊かな表現力に魅了される。

例えば、「弦楽合奏のための5つの楽章」は緊密な合奏力と艶のある美しい音の響きに強く惹かれるし、「大オーケストラのための6つの小品」もケーゲルならではの鋭角的に冴えた音の作り方も見事。

また、「オーケストラのための5つの小品」も打楽器の扱い方の巧さに彼独自の味がある。

他の2曲も文句のつけようがなく、ここにはケーゲルの真価が遺憾なく発揮されている。

やはりケーゲルは古典より近・現代の作品を振ってその真価を発揮できる指揮者であり、その中でも特に新ウィーン楽派の作品はケーゲルに合っていた。

独特の厳しさをたたえた演奏で、また、気迫というか妖気せまるものがある。

アントン・ウェーベルン、あるいはウェーベルン=ケーゲルというべきか、創造のひとつの極致であるウェーベルンの音楽が、ケーゲルの手によって、まさに創造の極限として露わにされている。

音楽という日本語が含んでいる、どこか甘い雰囲気をたたえた言葉を遥かに越えて、いや、それとは別の次元に立ってというべきかもしれない、ここでは創造の現実が我々の日常的現実性を突き破って超然としているのだ。

前世紀の音楽で異彩を放つケーゲルを鬼才と呼ぶかどうかは聴き手次第とも言えるが、ケーゲルがこうした音楽で見せる作品の透視術のようなものは、彼独特のものである。

それは、2つの大きな大戦を引き起こした大きな時代の波の動きもさることながら、技術や経済の急速な発展、国境や民族の境を超えた価値観の多様性と急激な変化、そして、そうしたものが瞬時にして世界の隅々まで波及することによる、我々のごくごく普通の人々の日常生活への影響、精神的な苦痛のような前世紀の時代の特徴をケーゲルがその肌で感じ取ったままを演奏に込めているように思う。

演奏する作品群と同じ時代に生まれ、生きた指揮者だからこそ、こうした作品群を最も赤裸々に表現できたというのが筆者のこの音盤でのケーゲル評である。

終始どこか不安定さを感じる演奏、それまでの穏やかを瞬断して何の前触れもなく突如現れる強奏、誰かが物陰からこちらをずっと覗き見ていることに気づいたときのような気持ち悪さに似た相容れないものの同時進行性のようなものを感じる。

期待感を持ってどんな演奏か想像はしてみるが、やはり聴いてみないと実像・結果がわからないといった一種のスリリングさを感じるところにケーゲル演奏の醍醐味がある。

そういったケーゲルの指揮するウェーベルンの作品どれも面白く興味が尽きない演奏で、これらの作曲家の作品を避けていた人には真っ先にお薦めしたいディスクだ。

ドイツ・シャルプラッテンの音源からハイブリッドSACD化した高音質録音も、本名演の価値を高めるのに大いに貢献していることを忘れてはならない。

ところで、クラシック音楽情報ならこちらがオススメです。
人気ブログランキング



フルトヴェングラーのCDなら、 フルトヴェングラー鑑賞室



classicalmusic at 01:14コメント(0)トラックバック(0)ケーゲル  

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
メルマガ登録・解除
 

Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

Categories
Archives
Recent Comments
記事検索
  • ライブドアブログ