2022年11月18日
死の前年😇かすかに繊細になったショルティ🫡サッパリとした速めのモーツァルト🎭歌劇『ドン・ジョヴァンニ』🦹🏻(1996年ライヴ)
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1997年9月5日に亡くなったショルティ2度目の『ドン・ジョヴァンニ』。
死の前年のライヴ録音であるが、そんなことを感じさせない、速くて溌剌とした演奏である。
いくぶん、静かな伴奏部分に、繊細さが聴きとれるような気がする。
歌手陣の中では、題名役のブリン・ターフェルがとても素晴らしい。
アバドの『ファルスタッフ』でも主役を歌っていたが、なかなか難しい役をよくこなしている。
ほとんどのモーツァルトのバス役も歌っていたような気がするけれど、残念ながら、まだ筆者の印象は弱い。
エルヴィーラ役のアン・マーレイも、あまり馴染みはないが、先般のムーティ指揮の『フィガロの結婚』ではケルビーノを歌っていた。
歴代のエルヴィーラはかなりの名歌手が歌っているが、アン・マーレイもなかなか聴きやすい歌唱で、それなりにいいのだが、やはり他の名盤の演唱よりは少し弱い。
驚いたのは、意外にもドン・オッターヴィオで、ヘルベルト・リッペルトというテノール歌手は聞いた覚えがないが、こんなオッターヴィオは初めてである。
いつもはオッターヴィオを、ほとんど意識することはなく聴いているのだが、特にあの2つのアリアでこの歌に感動したことはほとんどなく、フルトヴェングラー、カラヤン、ベームの盤でもそう思う。
これまで特に素晴らしいと思ったのはクレンペラーの指揮のもので、これはクレンペラーの演奏が凄いのであって、おそらく歌手の問題ではない。
ショルティの指揮もかすかに繊細になっているような気もするが、今度は明らかに歌手を配慮したためだ。
『ドン・ジョヴァンニ』というオペラは、2幕構成で、CD3枚に収められる。
したがって2枚目には、1幕の終わりと2幕の始まりが入るという、居心地の悪い状態になっている。
『フィガロの結婚』『コジ・ファン・トゥッテ』も同じようなものだが、この盤では、CDの2枚目がツェルリーナのアリアで終わる。
その後の6重唱が3枚目の頭に入っているが、特に時間が押しているわけではない。
この第2幕始めの6重唱は、もともとモーツァルトは3幕構成で考えていたのではという説があるのかないのか、完全にフィナーレの音楽になっている。
通常CDは(あるいはLPでも)ここで2枚目が終わる。
終わるのにちょうど良い音楽で、ここで区切らなくてどこで区切るというのか、なぜなのか、少し気になるところだ。
さてショルティの指揮と全体の印象であるが、半分くらいはいつものショルティで、特にエルヴィーラとドンナ・アンナの情念あふれる場面での、感情の高まりが若干乏しい。
深刻な場面での、大見得を切るようなところがさっぱり盛り上がらない。
ところがドン・ジョヴァンニがツェルリーナを誘惑する2重唱の場面は、実にチャーミングに仕上がっている。
全体的に、サッパリとした速めの演奏なのだが、各幕の始めと終わりの切れが良く、トスカニーニの強靱な指揮を思わせる。
筆者が理想とするのは『ファルスタッフ』のトスカニーニなのだが、特に第1幕のフィナーレのたたみかけが速くて興奮させられる。
こんな印象は、他のどの指揮者からも受けたことはない。
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