2014年07月15日

ショルティのモーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(1996年ライヴ)


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1997年9月5日に亡くなったショルティ2度目の『ドン・ジョヴァンニ』。

死の前年のライヴ録音であるが、そんなことを感じさせない、速くて溌剌とした演奏である。

いくぶん、静かな伴奏部分に、繊細さが聴きとれるような気がする。

歌手陣の中では、題名役のブリン・ターフェルがとても素晴らしい。

アバドの『ファルスタッフ』でも主役を歌っていたが、なかなか難しい役をよくこなしている。

ほとんどのモーツァルトのバス役も歌っていたような気がするけれど、残念ながら、まだ筆者の印象は弱い。

エルヴィーラ役のアン・マーレイも、あまり馴染みはないが、先般のムーティ指揮の『フィガロの結婚』ではケルビーノを歌っていた。

歴代のエルヴィーラはかなりの名歌手が歌っているが、アン・マーレイもなかなか聴きやすい歌唱で、それなりにいいのだが、やはり他の名盤の演唱よりは少し弱い。

驚いたのは、意外にもドン・オッターヴィオで、ヘルベルト・リッペルトというテノール歌手は聞いた覚えがないが、こんなオッターヴィオは初めてである。

いつもはオッターヴィオを、ほとんど意識することはなく聴いているのだが、特にあの2つのアリアでこの歌に感動したことはほとんどなく、フルトヴェングラー、カラヤン、ベームの盤でもそう思う。

これまで特に素晴らしいと思ったのはクレンペラーの指揮のもので、これはクレンペラーの演奏が凄いのであって、おそらく歌手の問題ではない。

ショルティの指揮もかすかに繊細になっているような気もするが、今度は明らかに歌手を配慮したためだ。

『ドン・ジョヴァンニ』というオペラは、2幕構成で、CD3枚に収められる。

したがって2枚目には、1幕の終わりと2幕の始まりが入るという、居心地の悪い状態になっている。

『フィガロの結婚』『コジ・ファン・トゥッテ』も同じようなものだが、この盤では、CDの2枚目がツェルリーナのアリアで終わる。

その後の6重唱が3枚目の頭に入っているが、特に時間が押しているわけではない。

この第2幕始めの6重唱は、もともとモーツァルトは3幕構成で考えていたのではという説があるのかないのか、完全にフィナーレの音楽になっている。

通常CDは(あるいはLPでも)ここで2枚目が終わる。

終わるのにちょうど良い音楽で、ここで区切らなくてどこで区切るというのか、なぜなのか、少し気になるところだ。

さてショルティの指揮と全体の印象であるが、半分くらいはいつものショルティで、特にエルヴィーラとドンナ・アンナの情念あふれる場面での、感情の高まりが若干乏しい。

深刻な場面での、大見得を切るようなところがさっぱり盛り上がらない。

ところがドン・ジョヴァンニがツェルリーナを誘惑する2重唱の場面は、実にチャーミングに仕上がっている。

全体的に、サッパリとした速めの演奏なのだが、各幕の始めと終わりの切れが良く、トスカニーニの強靱な指揮を思わせる。

筆者が理想とするのは『ファルスタッフ』のトスカニーニなのだが、特に第1幕のフィナーレのたたみかけが速くて興奮させられる。

こんな印象は、他のどの指揮者からも受けたことはない。

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classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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