2014年07月20日

ケーゲル&ライプツィヒ放送響のブルックナー:交響曲第5番(1977年ライヴ)


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当演奏は初出当時から極めて評価の高かったものである。

リズム重視で厳格にして快活なテンポ設定で、ケーゲルらしい隅々までレントゲン照射したかのように音形を浮かび上がらせた名演だ。

幻想味を強調せず、どこまでも現実的な演奏と言えるところであり、楽曲を合理的に再構築してしまう手腕はヴァントに通じるものがあるとも言える(思えば、放送オケとの親密な関係、練習狂と言った面も似ている)。

トータル70分という快速テンポの演奏であり、後に録音されたレーグナー盤が68分台、スウィトナー盤も69分台だったので、これが東独では標準的なスタイルだったのかもしれない。

それとも「第8番と並ぶ大曲」とは見なされていなかったということかもしれない。

第1楽章の序奏こそ堂々としたテンポであるが、ホールの残響が少ないせいもあってか、潤いがなくて冷たい感じのまま音楽が進められていく。

ティンパニの打撃と共に、トランペットの切り裂くような音も耳に付く。

ただし、ロシア(旧ソ連)の演奏ほどではないが、アンサンブルの精度は非常に高い。

14分20秒のピーク前後も全く隙がない立派な演奏であるが、ここで感じる息苦しさはヴァント&ベルリン・フィル盤に匹敵する。

それゆえ、14分56秒からテンポを落として2分あまりしみじみ演奏しているのが「私はもうこんな生活には疲れました」とこぼしているように聴こえるが、18分11秒から再びテンポが速くなり、次第に軍隊行進曲調になる。

ここのコーダは堂々としたものだが、予想していたほど激しくはなかった。

その後も厳しい音楽が続き、次の第2楽章も一息吐くどころか、圧制に苦しめられている人の嘆きを聴かされているようだ。

ショスタコーヴィチの交響曲のいくつかの楽章(第5番や第10番の第3楽章など)を思い出した。

要は筆者の考え過ぎなのかもしれないが、テンポと音響のせいで緩徐楽章からもヒンヤリした印象を受けるのは確かである。

続く第3楽章スケルツォでは冒頭の突進に驚かされ、主部は長調部分でも音楽は決して微笑まない。

主部が厳しくともトリオに入るとテンポを落として息抜きをする演奏が一般的だと思うが、ケーゲルはそんなことには全く興味がないかのごとく、ここを早足で通り過ぎてしまう。

労働基準法を全く無視したかのような(途中の休憩10分だけで12時間労働させるかのような)過酷な演奏である。

第4楽章も同様に厳しい音楽が繰り広げられていき、突然激しくなる箇所が途中に何度かあるものの、決して熱くはならない。

ここまで徹底して同じスタイルで演奏しているのだから、全曲を貫く統一感という点では抜群である(聴いていて楽しい音楽ではないが)。

そんなことを思いつつ聴いていたのであるが、10分を過ぎた辺りから次第に演奏に熱がこもってくるのである。

13分38秒の小ピークに持っていくまでは、テンポこそまるで違うけれどもチェリビダッケのような壮絶な盛り上げ方である。

そして仰天したのが17分を過ぎてからで、変わったところでティンパニが鳴る。

クナの第5番は大幅カットされてしまっているので、それとの対応関係が掴まえにくいが、ケーゲルが改訂版を参考にしつつティンパニを付加したのは間違いない。

それまでと異なり、ここのティンパニは音が明るい(まさかとは思うが、違う楽器を使ったのだろうか? なお、クナ盤では音がこもっているせいか、コーダ前のティンパニ付加はそれほど耳に付かない)。

そしてシンバルこそ鳴らないが、コーダでもティンパニはやりたい放題で、シャルクが狙った通りの軍楽調になっている。

マタチッチ盤を上回るドンチャン騒ぎで、またしてもショスタコに例えるが、「森の歌」のラストと同じく、共産主義の明るい未来を予想させるような音楽になっている。

「東側はハース版」という常識が見事に覆されてしまった訳だが、あるいは党のお偉方に改訂版使用を強要されたのだろうか?

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classicalmusic at 22:47コメント(0)トラックバック(0)ブルックナー | ケーゲル 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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