2014年07月26日

カラヤン&ウィーン・フィルのドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」/スメタナ:交響詩「モルダウ」


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本盤には、カラヤンがウィーン・フィルを指揮して演奏したドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」及びスメタナの交響詩「モルダウ」が収められている。

両曲ともにカラヤンは十八番としており、これまでに何度もスタジオ録音を繰り返し行っている。

交響曲第9番「新世界より」については、手兵ベルリン・フィルとの4つの演奏(1940年、1957年、1964年及び1977年)、交響詩「モルダウ」についても、同じく手兵ベルリン・フィルとの3つの演奏(1958年、1967年、1977年)が存在している。

いずれ劣らぬ名演であるが、これらの名演の中でとりわけカラヤンの個性が発揮された演奏は、ベルリン・フィルとの全盛期の1970年代の演奏であった。

この当時のカラヤン&ベルリン・フィルの演奏は、分厚い弦楽合奏、ブリリアントなブラスセクションの響き、桁外れのテクニックをベースに美音を振り撒く木管楽器群、そして雷鳴のように轟きわたるティンパニなどが、鉄壁のアンサンブルの下に融合し、およそ信じ難いような超絶的な名演奏の数々を繰り広げていた。

カラヤンは、このようなベルリン・フィルをしっかりと統率するとともに、流麗なレガートを施すことによっていわゆるカラヤンサウンドを醸成し、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築していた。

したがって、両曲についても、いずれも1977年盤においてかかる圧倒的な音のドラマが健在であるが、この稀代の黄金コンビも1982年のザビーネ・マイヤー事件の勃発を契機として、大きな亀裂が入ることになった。

加えて、カラヤン自身の健康悪化もあり、カラヤン&ベルリン・フィルの演奏にもかつてのような輝きが失われることになったところだ。

そのような傷心のカラヤンに温かく手を差し伸べたのがウィーン・フィルであり、カラヤンもウィーン・フィルに指揮活動の軸足を動かすことになった。

本盤の演奏は、そのような時期(1985年)のカラヤンによる演奏であり、ここには1977年盤のようなオーケストラを圧倒的な統率力でドライブして音のドラマを構築したかつてのカラヤンの姿はどこにも見られない。

ただただ音楽そのものを語らせる演奏であるとさえ言えるだろう。

したがって、カラヤンの個性の発揮という意味においては1977年盤と比較していささか弱いと言わざるを得ないが、演奏が含有する独特の味わい深さや奥行きの深さという意味においては、本演奏の方をより上位に掲げたいと考える。

特に、交響曲第9番の第2楽章。

有名な家路の旋律をカラヤンは情感豊かに演奏するが、中間部は若干テンポを落として心を込めて歌い抜いている。

この箇所の抗し難い美しさはこれまでの他の演奏からは決して聴けないものであり、これこそカラヤンが最晩年になって漸く到達し得た至高・至純の境地と言えるだろう。

ウィーン・フィルも、名誉指揮者であるカラヤンに心から敬意を表して、持ち得る実力を最大限に発揮した渾身の大熱演を披露しているのが素晴らしい。

いずれにしても、本演奏は、重厚さと優美さ、ドヴォルザークやスメタナならではのボヘミア風の抒情、そして、カラヤンが最晩年になって漸く到達し得た至高・至純の境地とも言うべき独特の味わい深さと言ったすべての要素を兼ね備えた、まさに完全無欠の超名演と高く評価したい。

音質は、リマスタリングがなされたこともあって本盤でも十分に満足できるものである。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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