2014年08月07日

ヨッフム&シュターツカペレ・ドレスデンのブルックナー:交響曲全集


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ブルックナー協会総裁を務めるなどブルックナーの権威として知られていたヨッフムは、ブルックナーの交響曲全集を2度にわたってスタジオ録音している。

最初の全集は、ベルリン・フィルやバイエルン放送交響楽団とともにスタジオ録音を行ったもの(1958〜1967年)であり、そして2度目の全集が本盤に収められたシュターツカペレ・ドレスデンとのスタジオ録音(1975〜1980年)である。

ヨッフムのブルックナー演奏は、1990年代以降に登場して、現在においても誉れの高いヴァントや朝比奈による超名演とはその性格を大きく異にしている。

ヴァントや朝比奈は、荘重なインテンポによって曲想を重厚に、そして精緻に描き出していくというスタイルで一世を風靡したところであり、これは、ブルックナー演奏はインテンポで行うべきであるという現在における基本的な演奏スタイルにも繋がっている。

ところが、ヨッフムの場合は、インテンポなどにいささかも固執していない。

それどころか、テンポは大胆に動かしており、むしろドラマティックで壮絶ささえ感じさせることがあるほどだ。

緩徐楽章などにおける抒情的な旋律の数々も徹底して歌い抜いており、その心の込め抜いた情感の豊かさには、ロマンティシズムの香りさえ漂っている。

このように、現代のブルックナー演奏の定石からすれば、かなり大胆で思い切った表現を駆使しているにもかかわらず、演奏全体の造型が弛緩することなく、ブルックナーらしさをいささかも失っていないというのは、ブルックナーの権威たるヨッフムの面目躍如たるものがあると言えるだろう。

どの交響曲も水準以上の名演であると言えるが、とりわけ第1番、第2番、第6番などの比較的規模が小さい曲が素晴らしい超名演であるというのは、旧全集とも共通している。

他方、第7番や第8番についても、旧全集と同様により壮大なスケール感が欲しいという気もするが、これだけ堪能させてくれれば文句は言えまい。

オーケストラには、シュターツカペレ・ドレスデンを起用しているが、このオーケストラの持ついぶし銀の重心の低い音色が、本盤の各演奏に独特の潤いと温もりを付加させていることを忘れてはならない。

なお、ヨッフムのアプローチは、本全集だけでなく旧全集においても基本的に共通しているが、旧全集よりも若干ではあるが本全集の方がより思い切った表現をとっているように思われる箇所が散見されるところであり、旧全集と本全集の優劣の比較は困難を極めるが、録音面を加味すれば、筆者としては旧全集の方をわすかに上位に置きたいと考えている。

もっとも、それは高次元での比較の問題であり、本全集もブルックナーの権威としてのヨッフムならではの素晴らしい名全集と高く評価したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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