2014年07月30日
カラヤン&ベルリン・フィルのハイドン:パリ交響曲集&ロンドン交響曲集
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カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代は1960年代及び1970年代というのが大方の見方だ。
1982年になって、いわゆるザビーネ・マイヤー事件が勃発すると、両者の関係は修復不可能にまで悪化し、カラヤン自身の健康悪化も多分にはあると思うが、この両者による演奏に全盛時代の輝きが失われるようになったというのは否めない事実である(中には優れた味わい深い演奏も存在している)。
本盤に収められたハイドンのパリ交響曲集とロンドン交響曲集は、1980年代に入ってからの演奏ではあるが、ザビーネ・マイヤー事件勃発前のものであり、いまだ両者の関係に亀裂が走っていない時期の録音である。
したがって、全盛期に比肩し得るような両者による素晴らしい演奏を堪能することが可能である。
一時期のカラヤンは作為的な表現も多々あったが、このハイドンでは、彼のアクの強さは影をひそめ、そのかわりにベルリン・フィルの自発性が目立っている。
一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブル、木管楽器やホルンなどの卓越した桁外れの技量を駆使しつつ、カラヤン一流の優雅なレガートが施された演奏は、まさにオーケストラ演奏の極致とも言うべきものであり、ハイドンの交響曲演奏としてもこれ以上の絢爛豪華な演奏は空前にして絶後であるとも言えるだろう。
ハイドンは、カラヤンが昔から得意としていたレパートリーのひとつであり、カラヤンがとりわけ深く愛した交響曲第104番「ロンドン」については、ウィーン・フィルとのスタジオ録音(1959年)の方が、第103番も含めて、より颯爽とした爽快な演奏に仕上がっており、ハイドンの交響曲に相応しい名演とも言える。
また、第104番に、第83番、第101番をカップリングしたベルリン・フィルとのスタジオ録音(1975年)も優れた名演であった。
しかしながら、本盤に収められた演奏は、ベルリン・フィルの合奏力が、遺憾なく発揮された演奏であり、いわゆる音のドラマとしては最高峰の水準に達していると言えるところであり、聴き終えた後の充足感においては、前述の過去の名演にもいささかも引けを取っていないと考える。
細部にまで磨き上げられたアンサンブルが特徴で、旋律を心から歌わせ、音楽をここまで彫琢して聴かせる指揮者というのも、カラヤンをおいては他になかろう。
晩年のカラヤンは、ぎりぎりまでテンポを落として、風格のある演奏を行っていたが、ここでもそれが見事に功を奏し、巨匠的な仕上がりとなっている。
近年多くなった、端正な演奏とはかけ離れているが、スケールの大きさといい、完成度の高さといい、カラヤンならではの世界だ。
このような重厚でシンフォニックな本演奏に接すると、近年主流となっている古楽器奏法や、ピリオド楽器を使用した演奏が何と小賢しく聴こえることであろうか。
録音は従来盤でも十分に満足できる高音質であったが、数年前にカラヤン生誕100年を記念して発売されたSHM−CD盤は、音質の鮮明さといい、音場の広がりといい、素晴らしい水準の音質である。
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