2022年11月29日
濃厚で耽美的🎨洗練の度を極め尽くした🎻弦楽合奏の機能美を徹底的に追求🖼️カラヤン&ベルリン・フィル🐻❄️チャイコフスキー🧑🤝🧑ドヴォルザーク:弦楽セレナード💖
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本盤には、チャイコフスキーとドヴォルザークによる弦楽セレナードが収められているが、いずれも素晴らしい至高の名演と高く評価したい。
録音は1980年であるが、これはカラヤン&ベルリン・フィルという黄金コンビが最後の輝きを見せた時期でもある。
健康問題が徐々に顕在化しつつあったカラヤンと、長年にわたる独裁政権に辟易とし始めたベルリン・フィルとの関係は、1970年代後半頃から徐々に悪化しつつあった。
それでも1980年には、いまだ対立関係が表面化することはなく、少なくとも演奏の水準においては究極の到達点にあったとさえ言える。
翌々年には、ザビーネ・マイヤー事件の勃発によって両者の関係が修復不可能にまで悪化することから、本演奏の録音のタイミングとしては、ベストの時期であったと言っても過言ではあるまい。
演奏は絶品というべきもので、ベルリン・フィルの磨き抜かれた艶やかな音色と、カラヤンの精緻で洗練を極めた棒さばきから、味わい深く、香りを湛えた音楽が漂ってくる。
そして本演奏においては、全盛期のベルリン・フィルの弦楽合奏がいかに桁外れに凄いものであったのかを思い知らされることになるのは必定だ。
一糸乱れぬ鉄壁のアンサンブル、重量感溢れる肉厚の合奏、情感溢れる美しさの極みとも言える高弦の艶やかな響きなど、とても人間業とは思えないような超絶的な機能美を誇っている。
カラヤンの指揮も洗練の度を極め尽くした弦楽合奏の機能美を徹底的に追求し、流麗なレガートを駆使して、これ以上は求め得ないような濃厚で耽美的な指揮を披露している。
このように最高の指揮者と最強の弦楽合奏が生み出した音楽は、極上の美しさを湛えていると言えるだろう。
両曲の演奏には、本演奏においてはいささか欠如している、ロシア風の強靭な民族色やボヘミア風のノスタルジックで素朴な抒情を求める聴き手も存在し、その線に沿った名演(チャイコフスキーについてはスヴェトラーノフ&ロシア国立交響楽団(1992年)、ドヴォルザークについてはクーベリック&バイエルン放送交響楽団(1977年ライヴ)など)も少なからず成し遂げられているが、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマを構築したカラヤン&ベルリン・フィルの名演との優劣は、容易には付け難いのではないかと考える。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2022年11月29日 19:56

2. Posted by 和田 2022年11月29日 20:15
挙げられた中でコリン・デイヴィスの録音は、バイエルン放送交響楽団の弦楽器群の魅力を存分に引き出した、熱っぽい演奏でした。思いの丈を吐露するかのような深い感動があり、セレナードという以上に交響詩にも似た表現の奥深さを感じます。スケールも大きく、内容的にも充実し、指揮者の円熟の境地を示して聴きごたえがあります。チャイコフスキーでは独特の憂愁を余すところなく描出しています。チャイコフスキーの弦楽セレナードは、ドヴォルザークの弦楽セレナードと一緒に収録されることも多く、また室内管弦楽団によるすぐれた演奏も少なくありません。しかし、この曲の場合、室内管弦楽団のスリムな響きよりも厚いシンフォニー・オーケストラの豊かな響きがふさわしいように思います。特にデイヴィスとバイエルン放送交響楽団の演奏は、第1楽章から非常にバランスのよい洗練された豊かな響きの美しさに魅了されます。そのあまり厚くなりすぎないふくよかな響きが豊かな陰影をたたえ、繊細な抒情を紡ぎ出しています。チャイコフスキーはこのセレナードを国際的に通用する作品として古典的な形式を用いましたが、デイヴィスは旋律をのびやかに歌わせながら、チャイコフスキー特有の憂愁をたたえた第2楽章のワルツや第3楽章エレジーに込められたロシア的な情感も爽やかに表出しており、両端楽章の弾力性に富むリズムと生彩あふれる表情も見事です。またドヴォルザークも思い入れたっぷりな表現で旋律を歌わせる第1楽章、多少遅めのテンポでロマンティックな詩情を丹念に表出した第3楽章など、ヴェテランの棒さばきが光っています。バイエルン放送交響楽団の重厚なストリングスも魅力的です。