2022年11月29日
重厚さ🏋️スケールの雄渾さ🦸🏻あらゆる演奏の中でも最も壮麗な名演🧔🏻ツィマーマン&カラヤン🤝グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲🎹
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カラヤンとツィマーマンが組んで行った唯一の協奏曲録音である。
そもそもカラヤンが、協奏曲の指揮者として果たして模範的であったかどうかは議論の余地があるところだ。
カラヤンは、才能ある気鋭の若手奏者にいち早く着目して、何某かの協奏曲を録音するという試みを何度も行っているが、ピアニストで言えばワイセンベルク、ヴァイオリニストで言えばフェラスやムター以外には、その関係が長続きしたことは殆どなかったと言えるのではないだろうか。
ソリストを引き立てるというよりは、ソリストを自分流に教育しようという姿勢があったとも考えられるところであり、遺された協奏曲録音の殆どは、ソリストが目立つのではなく、全体にカラヤン色の濃い演奏になっているとさえ感じられる。
そのような帝王に敢えて逆らおうとしたポゴレリチが練習の際に衝突し、コンサートを前にキャンセルされたのは有名な話である。
本盤に収められた演奏も、どちらかと言えばカラヤン主導による演奏と言える。
カラヤンにとっては、シューマン、グリーグのいずれのピアノ協奏曲も既に録音したことがある楽曲でもあり、当時期待の若手ピアニストであったツィマーマンをあたたかく包み込むような姿勢で演奏に望んだのかもしれない。
特に、オーケストラのみの箇所においては、例によってカラヤンサウンドが満載。
鉄壁のアンサンブルを駆使しつつ、朗々と響きわたる金管楽器の咆哮や分厚い弦楽合奏、そしてティンパニの重量感溢れる轟きなど、これら両曲にはいささか重厚に過ぎるきらいもないわけではないが、オーケストラ演奏の極致とも言うべき圧倒的な音のドラマの構築に成功している。
カラヤンの代名詞でもある流麗なレガートも好調であり、音楽が自然体で滔々と流れていくのも素晴らしい。
ツィマーマンのピアノも明朗で透明感溢れる美しい音色を出しており、詩情の豊かさにおいてもいささかの不足はなく、とりわけ両曲のカデンツァは秀逸な出来映えであるが、オーケストラが鳴る箇所においては、どうしてもカラヤンペースになっているのは、若さ故に致し方がないと言えるところである。
もっとも、これら両曲の様々な演奏の中でも、重厚さやスケールの雄渾さにおいては本演奏は際立った存在と言えるところであり、本演奏を両曲のあらゆる演奏の中でも最も壮麗な名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。
本盤は1981〜1982年のデジタル録音であり、十分に満足し得る音質である。
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コメント一覧
1. Posted by 小島晶二 2022年11月29日 20:34

2. Posted by 和田 2022年11月29日 20:40
話は逸れますが、ポゴレリチはアバドと組んだチャイコフスキーのコンチェルトは大柄なヴィルトゥオーゾの名演です。第1楽章序奏部は堂々とした威容を誇りながらも、テンポは速めで若々しさを失わず、しかもタッチの厚みと迫力は地響きを立てるがごとくで、楽器が完全に鳴り切っています。また359小節からのソロだけの部分などは、まるでシェーンベルクの音楽を思わせる硬質の和音を響かせます。第2楽章は逆にクールさがユニーク。アバドの指揮もポゴレリチ同様、少しも隙がなく、流石卓越した協奏曲指揮者です。ポゴレリチはこの作品と録音について「私の目標はチャイコフスキーが書いたピアノとオーケストラの心からの対話を示すことである。そこではパートナーシップが必要である」と語り、彼に同意しベストをつくしたアバドとオーケストラの全員に感謝しています。確かにこの演奏を聴くと、ポゴレリチの絶妙なピアニズムが指揮とオーケストラの巧妙なバックアップによって非常に効果を挙げていることがわかります。ただ技巧を誇示した華麗さだけではなく、チャイコフスキーの情熱や叙情がみずみずしく新鮮に表現されていますし、大胆ともいえるテンポやダイナミックスの変化による疾走感もすばらしく、滅多にないスリリングな魅力あふれる名演です。