2014年08月13日

バウマン&アーノンクールのモーツァルト:ホルン協奏曲全集


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モーツァルトのホルン協奏曲の名演としては、デニス・ブレイン、ゲルト・ザイフェルト、ペーター・ダム、ズデニック・ティルシャルなど、名うてのホルン奏者による演奏が掲げられるが、いずれもバルブによって音を出す現代楽器(ヴァイヴ・ホルン)によって演奏がなされている。

ホルンという楽器はバルブが付いていても、音を外しやすい難しい楽器であるが、現代楽器(ヴァイヴ・ホルン)ですら難しいところ、本盤のヘルマン・バウマンは、バルブがない、いわゆるナチュラル・ホルンというオリジナル楽器を用いて演奏している。

この楽器は、バルブが付いていないだけに、さらに演奏するのが難しいことは容易に予想できるところだ。

もっとも、バルブが付いていない分だけ管は長く、うまく演奏できた時の深みのある音は、現代楽器には及びもつかないものがあるとも言えるだろう。

そうした、かつてのナチュラル・ホルンによる演奏の魅力を十二分に満喫させてくれる演奏こそは、本盤のバウマン、そしてアーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによる演奏であると考えられる。

本演奏を聴いて思うのは、いわゆる学術的な臭いが全くしないということである。

いわゆるオリジナル楽器やピリオド奏法といった、かつてのモーツァルトなどが生きていた時代の演奏を再現した近年流行の古楽器系の演奏は、名演もあるが、クラシック音楽ファンのよい演奏、感動を与えるという演奏を行うという本来あるべき姿勢をどこかに置き忘れ、学者の学究意欲を掻き立てることのみに照準を合わせた演奏が跋扈しているという嘆かわしい現状にある。

そのような中で、本演奏は、オリジナル楽器やピリオド奏法を行いつつも、同曲の魅力をクラシック音楽ファンに伝えるという姿勢を決して蔑ろにしていないのが見事であり、これぞ、現代における古楽器系の演奏の理想像の具現化と評しても過言ではあるまい。

若きバウマンのホルン演奏は、ナチュラル・ホルンの特性を十二分に活かした深みのある透明感溢れるものであり、おそらくは、ナチュラル・ホルンによる同曲の演奏としては、現代においても最高峰に君臨する名演奏と評価したい。

アーノンクールは、古楽器系の演奏の指揮者の旗手として、様々なピリオド奏法を駆使した演奏を行ってきているが、本盤の演奏においては、バウマンのホルン演奏とともに、音楽の自然な流れを重視した歌謡性豊かな演奏を心がけており、これまた同曲の古楽器系の演奏の中でも最右翼に掲げるべき名演奏と言えるだろう。

いずれにしても、本盤の演奏は、録音から約40年が経った今日においても、モーツァルトのホルン協奏曲のオリジナル楽器やピリオド奏法による演奏の中でもトップの座に君臨する素晴らしい名演と高く評価したい。

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classicalmusic at 00:32コメント(2)トラックバック(0)モーツァルト | アーノンクール 

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コメント一覧

1. Posted by Kasshini   2015年12月15日 12:11
こちらは、すっきり軽快な伴奏が、聴いていて楽しいですね。いい意味で、サポート役で。ただ、やはり、ヴィーンフィルの色香には負けます。ノンヴィヴラードに由来する清澄さがアドバンテージかなとも。
このナチュラル・ホルンの音色は、素晴らしいですね。あるときは、明るくまろやか、重音やゲシュトップを用いると途端に、クレメンス・クラウス、クリップスが指揮した時のヴィンナホルンのような暗くくすんだ鄙びたまろやかな音色、割れやすさからくる野趣さまで、今のホルンよりも、その音色は変幻自在なところに惹かれました。これは聴いていてとても新鮮です。テクニックも完璧で、クレヴェンジャーがナチュラルホルンを吹いたホルン協奏曲第1番よりも安定していますし。最初に聴いたときは何も思いませんでしたが、素晴らしい演奏だなと思いました。
2. Posted by 和田   2015年12月18日 00:24
ナチュラル・ホルンは演奏が非常に難しいらしく、正しい音程とむらのない音色を保つことが困難とされますが、バウマンはそうした制約を全く感じさせません。
それにしても、こうした名手の手にかかると、この楽器は何と魅力的なことでしょう!
バウマンの演奏は、ホルンという楽器のもつ牧歌的な音色をよく生かしていて、その健康的で、のびやかな田園情緒は魅力的ですね。
バックも違和感を感じさせません。

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Profile

classicalmusic

早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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