2022年12月04日
人間味溢れるマイスキー🧔♂️聴かせどころのツボを心得た語り口の巧い🗣️アシュケナージのR.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」🦸
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アシュケナージによるR・シュトラウスによる管弦楽曲集については、他にもチェコ・フィルとともに演奏を行った、交響詩「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」や交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」等を収めた盤(1998年)が発売(マルチチャンネル付きのシングルレイヤーによるSACD盤で発売)されている。
それは素晴らしい名演であったが、本盤の演奏もそれに優るとも劣らない名演と評価したい。
アシュケナージは指揮者としてもピアニストとしても一流の存在であったが、その評価については賛否両論がある。
楽曲の聴かせどころのツボを心得た演奏をするとともに、表情づけなどの巧みさにおいても申し分がないアシュケナージ。
とある影響力の大きい某音楽評論家を筆頭に、アシュケナージを貶す者からすれば、かかる芸風は、楽曲の内容への追求度が甘いとか、はたまた甘口で厳しさが足りないなどと言った批判に繋がるものと考えられるところだ。
確かに、アシュケナージの芸風に不向きな楽曲があるのは事実であろう。
ベートーヴェンやブラームスの交響曲などの演奏においては、アシュケナージの演奏の場合、美しい演奏ではあるが今一つ踏み込み不足の感が否めないと言えるところだ。
しかしながら、ラフマニノフやチャイコフスキーなどの交響曲や協奏曲などにおいては、他の大指揮者や大ピアニストとも互角に渡り合えるだけの名演を成し遂げてきた。
筆者としては、アシュケナージの芸風を甘口などと言って、その一切を否定してしまうという見解には全く賛成し兼ねるところである。
それはさておき、本盤に収められたR・シュトラウスの管弦楽曲についても、アシュケナージの芸風に適合する楽曲と言えるのではないだろうか。
本演奏の特徴を一言で言えば、楽曲の魅力をダイレクトに表現した自然体の演奏ということになるのではないかと考えられる。
本演奏においては、特別な個性などは全く存在していない。
奇を衒うことなど一切排して、ただただ音楽そのものを語らせる演奏に徹しているとさえ言える。
前述のような、楽曲の聴かせどころのツボを心得た語り口の巧さも見事に功を奏しており、表情づけの巧みさや各楽器セクションのバランスの良い鳴らし方なども相俟って、R・シュトラウスによるこれらの各楽曲の美しさ、魅力を、安定した気持ちで心行くまで満喫することが可能な演奏に仕上がっているとも言えるだろう。
加えて、チェコ・フィルの弦楽合奏をはじめとした豊穣な音色や、特に、交響詩「ドン・キホーテ」におけるマイスキーによる人間味溢れるチェロ演奏が、演奏全体に独特の潤いと温もりを付加するのに大きく貢献していることも忘れてはならない。
いずれにしても、本盤は、演奏内容が優れていることに加えて、SACDによる極上の鮮明な高音質録音であることに鑑みれば、これまでの様々な指揮者によるR・シュトラウスの管弦楽曲集の中でも上位を占める名盤であると高く評価したい。
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