2014年08月17日
イエペス&ナヴァッロのロドリーゴ:アランフェス協奏曲、ある貴紳のための幻想曲
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スペイン風の情感に満ち満ちた珠玉の超名演だ。
スペインの盲目の作曲家ロドリーゴは、勇壮華麗なバレエ音楽などで知られるファリャなどとは異なり、情緒豊かなギターのための有名な協奏曲を作曲したことで知られる。
中でも、本盤に収められたアランフェス協奏曲とある貴紳のための幻想曲は、ロドリーゴ、引いてはスペイン、そしてギターのための協奏曲を代表する2大名曲とも評されているところだ。
前世期最高のギタリストの呼び声の高いイエペスは、これら両曲を十八番としていたが、その中でも最も優れた名演は、本盤に収められた1970年代後半に、ナヴァッロと組んでスタジオ録音を行った演奏であると言えるのではないだろうか。
それにしても演奏は実に素晴らしい。
イエペスのギタリストとしての技巧は申し分がない。
どんな難所に差し掛かっても、難なく弾きこなしており、さすがは前世期最高のギタリストだけのことはある。
ただ、イエペスの演奏は単に技巧一辺倒にはいささかも陥っていない。
イエペスは、ロドリーゴならではのスペイン風の若干哀愁に満ち溢れた旋律の数々を心を込め抜いて歌い抜いているところである。
それでいて、いささかもお涙頂戴の陳腐なロマンティシズムに陥っておらず、常に格調の高さを失っていないのが素晴らしい。
このように、イエペスによる本演奏は、いい意味での剛柔のバランスがとれているとも言えるところであり、その意味ではそれぞれの楽曲の演奏の理想像の具現化と言っても過言ではあるまい。
加えて、ガルシア・ナヴァッロ指揮のフィルハーモニア管弦楽団、イギリス室内管弦楽団も、イエペスのギター演奏をしっかりと引き立てるとともに、スペイン風の情緒溢れる見事な演奏を成し遂げていると評価したい。
いずれにしても、アランフェス協奏曲やある貴紳のための幻想曲には、様々なギタリストによって様々な名演が成し遂げられてきているが、本盤の演奏を、それぞれの楽曲の最高の超名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。
音質は、1977年及び1979年の録音ということもあって従来CD盤でも比較的良好な音質であった。
しかしながら、今般、ついに待望のシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD化がなされるに及んで大変驚いた。
音質の鮮明さ、音圧、音場の拡がりのどれをとっても一級品の仕上がりであり、とりわけ、イエペスによるギター演奏が鮮明に再現されるなど、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第だ。
いずれにしても、イエペス、そしてガルシア・ナヴァッロ指揮のフィルハーモニア管弦楽団、イギリス室内管弦楽団による至高の超名演を、現在望みうる最高の高音質であるシングルレイヤーによるSACD&SHM−CD盤で味わうことができるのを大いに喜びたい。
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