2014年09月27日

アンチェル&チェコ・フィルのスメタナ:連作交響詩「わが祖国」


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スメタナの連作交響詩「わが祖国」は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」と並んで、累代のチェコ出身の指揮者にとっては、最も重要なレパートリーとして位置づけられる名曲中の名曲という存在であり、それらの累代のチェコ出身の指揮者によって優れた名演の数々が生み出されてきた。

チェコ・フィルとの演奏に限ってみても、録音年代については本レビューにおいては省略するが、往年の名指揮者ターリッヒにはじまり、アンチェル、ノイマン、クーベリック、スメターチェクなど、枚挙にいとまがない。

アンチェルによる演奏は1963年のものであるが、ナチスによって家族を虐殺されるという悲劇的な経験をしたアンチェルにとっても、同曲は極めて重要な作品であったと言っても過言ではあるまい。

本盤に収められたアンチェルによる同曲の演奏は、やたらチェコの民族色を振りかざしたものではない。

即物的な解釈で知られたターリッヒほどではないが、後年のクーベリックやノイマンなどと比較すると、華麗さなどは薬にしたくもなく極めて地味な解釈に徹しており、純音楽的なアプローチによる質実剛健さが持ち味の演奏であるとさえ言えるのではないかと考えられる。

しかしながら、一聴すると淡々と流れていく各旋律の端々には、祖国チェコへの深い愛着、そして、自らが悲惨な経験をしたからこそ強く希求する平和への願いが込められていると言えるところであり、端正にして質実剛健な様相の演奏でありつつも、内に秘めた強靭な生命力、そして祖国チェコへの深い愛着に基づいた豊かな情感には尋常ならざるものがあると言えるところだ。

こうした真に味わい深い演奏こそは、まさに悲劇の指揮者アンチェルだけに可能な彫りの深い表現とも言えるところであり、その意味では、累代のチェコ出身の指揮者による同曲の数々の名演と比較しても、いささかも遜色のない素晴らしい名演に仕上がっていると高く評価したい。

音質については、1963年のスタジオ録音であり、筆者はこれまで1995年に発売された国内CD盤を愛聴してきたが、音場があまり拡がらず、いささかデッドで今一つの音質であったことは否めないところだ。

しかしながら、先般発売された新リマスタリング盤は、音質の鮮明さ、音場の幅広さなど、既発CDを遥かに上回るの仕上がりである。

いずれにしても、アンチェル&チェコ・フィルによる歴史的とも言うべき素晴らしい名演を、高音質の新リマスタリング盤で味わうことができるのを歓迎したい。

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classicalmusic at 21:03コメント(0)トラックバック(0)スメタナ | アンチェル 

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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