2014年08月29日

リパッティのブザンソン音楽祭における最後のリサイタル[SACD]


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若くして不治の病でこの世を去らなければならなかった悲劇のピアニストであるディヌ・リパッティであるが、本盤に収められた演奏は、死の2か月前にブザンソンにおいて重い病をおして敢行した歴史的なコンサートの貴重な記録である。

演奏はまさに凄いという他はない。

本演奏は、リパッティによる遺言とも言うべき精神の音楽と言っても過言ではあるまい。

どの曲もリパッティが得意とした楽曲で占められているだけに、至高の超名演と評価すべきであるが、特に、メインであるショパンのワルツ集に注目したい。

リパッティの不朽の名演との評価がなされているのは、同じく1950年にスタジオ録音したワルツ集であるというのは論を待たないところだ。

当該演奏は、モノラル録音という音質面でのハンディがあることから、近年ではルイサダなどによる名演の方にどうしても惹かれてしまうところであるが、それでもたまに当該演奏を耳にすると、途轍もない感動を覚えるところだ。

それは、リパッティの演奏に、ショパンのピアノ曲演奏に必要不可欠の豊かな詩情や独特の洒落た味わいが満ち溢れているからであると言えるところであるが、それだけでなく、楽曲の核心に鋭く切り込んでいくような彫りの深さ、そして、何よりも忍び寄る死に必死で贖おうとする緊迫感や気迫が滲み出ているからである。

いや、もしかしたら、若くして死地に赴かざるを得なかった薄幸のピアニストであるリパッティの悲劇が我々聴き手の念頭にあるからこそ、余計にリパッティによる当該演奏を聴くとそのように感じさせられるのかもしれない。

これに対して、本盤の演奏は、基本的なアプローチ自体は変わりがないものの、当該演奏よりも更に底知れぬ深みを湛えていると言えるところであり、加えて演奏にかける命がけの渾身の情熱の凄さは、我々聴き手の肺腑を打つのに十分な圧巻の迫力を誇っていると言えるだろう。

コンサートの最後に予定されていたワルツ第2番の演奏を果たすことが出来なかったのは大変残念ではあるが、それだけに、それ以外の楽曲に対してすべての体力や精神力を使い果たしたとも言えるところであり、そうしたリパッティのピアニストとしての、芸術家としての真摯な姿勢には、ただただ首を垂れるのみである。

いずれにしても、本盤の演奏は、薄幸の天才ピアニストであるリパッティが、その短い人生の最後に到達し得た至高至純の清澄な境地を大いに感じさせる超名演と高く評価したい。

もっとも、リパッティによる本演奏は、演奏自体は圧倒的に素晴らしいのだが、モノラル録音というハンディもあって、従来CD盤の音質は、いささか鮮明さに欠ける音質であり、時として音が歪んだり、はたまた団子のような音になるという欠点が散見されたところであった。

ところが、今般、ついに待望のSACD化が行われることによって大変驚いた。

従来CD盤とは次元が異なる見違えるような、そして1950年のモノラル録音とは到底信じられないような鮮明な音質に生まれ変わった。

リパッティのピアノタッチが鮮明に再現されるのは殆ど驚異的であり、あらためてSACDの潜在能力の高さを思い知った次第である。

いずれにしても、リパッティによる圧倒的な超名演を、SACDによる高音質で味わうことができるのを大いに歓迎したい。

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早稲田大学文学部哲学科卒業。元早大フルトヴェングラー研究会幹事長。幹事長時代サークルを大学公認サークルに昇格させた。クラシック音楽CD保有数は数えきれないほど。いわゆる名曲名盤はほとんど所有。秘蔵ディスク、正規のCDから得られぬ一期一会的海賊盤なども多数保有。毎日造詣を深めることに腐心し、このブログを通じていかにクラシック音楽の真髄を多くの方々に広めてゆくかということに使命を感じて活動中。

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