2014年08月18日
ヴァントのオルフ:カルミナ・ブラーナ
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指揮者ギュンター・ヴァント生誕100年、没後10年(2011年時)特別企画盤で、北ドイツ放送交響楽団との伝説ライヴを収録。
あまりの立派な演奏ぶりにくぎ付けになる演奏で、明確なリズムが堂々たる格調を醸し出し、合唱の弱音部も精妙さの極み、驚かされる。
第1部のダンスの低音部の重厚さは北ドイツ放送響ならではで、バリトンのペーター・ビンダーもF=ディースカウばりの熱唱、曲が進むにつれ興奮させられる。
定評高いヨッフム盤とならぶドイツ本流のオルフと言えるところであり、ヨッフム盤にないリズムのキレ、緊迫感、厳格なアプローチがみられる。
ギュンターヴァントは現代音楽の紹介者としても有名であったが、特にウェーベルンやツィンマーマンの解釈では他から一線を画するものを持っていた。
またフォルトナーも含め、第2次世界大戦前後の作曲家いわゆる「現代音楽」というものが名実ともに、世をはばかることなく「現代音楽」と言えた時代の作品をコンサートでも取り上げていた。
そしてヴァントにとって忘れられない作曲家はストラヴィンスキーとバルトークである。
さて、オルフについてはどのような評価になるのかと今回CDを聴いて驚いたのは、ヴァントのスケールの大きさである。
もちろん大変なリハーサルを乗り越えてステージに上がらせているわけだから演奏の質は高い。
ピアノも抜群に上手く、この作品はピアノ伴奏の合唱音楽のようなところもあるぐらいだからピアノがまずいと話にならないが、とても達者である。
それ以上に健闘して、やってくれているのが独唱と合唱で、久々に聴かせてくれた。
バリトンの「In Taberna: Ego Sum Abbas」は奮闘しており、スピーカーから唾が飛んでくるかのような雄叫びである。
その後の合唱「In Taberna Quando Sumus」が見事に接合し、阿鼻叫喚の場を演出し、そこに本当に酒飲んで狂乱状態の人がいるかのような臨場感である。
バリトンのビンダーは高音もきれいだし、大変な使い手と言えるところであり、この人の声と表現にヴァントも楽しんでいるんじゃないかと思わせるほどで、どこかで彼の音楽性にヴァントが任せているような感じもする。
このバリトンは全体を牽引する力も持っており、合唱も素晴らしく、本当に人間がうごめくように自然に声が動く。
これは曲が進むにつれて次第に音楽自体が熱を帯びてくると合唱がいい意味で図に乗ってくる。
「Tempus Est Iocundum」もなかなか聴けない調子の良さで、その後のソプラノの独唱も素晴らしい。
そしてヴィーナスを讃えた後の「Fortuna Imperatrix Mundi:O Fortuna」の落とし方も驚異と納得ではないだろうか。
徹底的に練習をして我が物にし、そして自由になった演奏の空間を垣間見る思いがする。
録音がまた鮮烈極まりなく、ヴァントの指揮ぶりを際立たせている。
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