2014年08月19日
ブーレーズ&クリーヴランド管のストラヴィンスキー:ペトルーシュカ、春の祭典(新盤)
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本盤には、ブーレーズがクリーヴランド管弦楽団とともにスタジオ録音(DG)したストラヴィンスキーの3大バレエ音楽のうち、「春の祭典」と「ペトルーシュカ」が収められている(「火の鳥」はシカゴ交響楽団との演奏)。
そして、「春の祭典」については、ブーレーズは本演奏も含め3度にわたって録音を行っている。
最初の録音はフランス国立放送交響楽団との演奏(1964年)であり、次いでクリーヴランド管弦楽団との演奏(1969年)があり、そして本演奏(1991年)へと続くことになる。
他方、「ペトルーシュカ」については、ブーレーズは本演奏も含め2度録音を行っており、本演奏(1991年)は、ニューヨーク・フィルとの演奏(1971年)に続くものである。
「春の祭典」については、何と言っても前述の1969年盤の衝撃が現在においてもなお忘れることができない当該演奏は徹頭徹尾、ブーレーズならではの個性が全開の快演であったと言える。
思い切った強弱の変化や切れ味鋭い強烈なリズムを駆使するなど、これ以上は求め得ないような斬新な解釈を施すことによって、ストラヴィンスキーによる難解な曲想を徹底的に鋭く抉り出しており、その演奏のあまりの凄まじさには戦慄を覚えるほどであった。
「ペトルーシュカ」についても、1971年盤は、まさに若き日の脂が乗り切ったブーレーズならではの先鋭的な超名演であった。
したがって、ブーレーズの個性が全開の圧倒的な超名演ということになれば、両曲ともに旧録音である1969年盤、1971年盤の方を第一に掲げるべきであると考えるが、本盤に収められた演奏も、それらの旧盤と比較するとインパクトは落ちるものの、立派な名演とは言えるのではないだろうか。
ブーレーズの芸風は、1990年代に入ってDGに自らのレパートリーを再録音するようになってからは、かつての前衛的なアプローチが影を潜め、すっかりと好々爺となり、比較的オーソドックスな演奏をするようになってきたように思われる。
もちろん、スコアリーディングについてはより鋭さを増しているものと思われるが、当該指揮によって生み出される音楽は比較的聴きやすいものに変容しており、これはまさしくブーレーズの円熟のなせる業ということになるのではないだろうか。
したがって、いわゆる普通の演奏になってしまっているとも言えるところであり、ブーレーズならではの強烈な個性が随分と失われてきているが、徹底したスコアリーディングに基いて、その精緻さをさらに突き詰めるとともに、豊かな情感をも加味した円熟の名演と評価するのにいささかも躊躇するものではない。
ブーレーズの指揮の下、一糸乱れぬアンサンブルで鉄壁の名演奏を繰り広げたクリーヴランド管弦楽団にも大いに拍手を送りたい。
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